
最近のニュースで割と頻繁に分電盤詐欺というのを耳にします。分電盤とは、エアコンと炊飯器とドライヤーを同時に使用した際、電気がバチっと切れて、それを復旧する時のスイッチがたくさん入っているアレでして、ブレーカーと言った方が通じるかもしれません。
分電盤の点検を装い、問題がないのに交換を迫り、高額な代金を請求するのがこの詐欺の特徴ですが、実は非常に分かりやすい見分け方があるのです。
それは、本物の点検ほど分電盤を触りたがらない、というものです。
本物の法定点検ほど、実は分電盤を開けない

原則4年に1回の周期で家庭や商店などの電気設備安全点検(定期調査)が行われ、各地域の電気保安協会、関東ならば関東電気保安協会が屋外と宅内の電気点検を行います。
この際に分電盤の点検も行われるのですが、これと勘違いをして、悪質な業者に点検をさせて詐欺に発展する事例が非常に多いのです。
では、本物と偽物の点検の違いはというと、実は、本物の検査では分電盤のカバーを開けること自体が稀ちゅうの稀なのです。分電盤の点検と聞くと、多くの人は「カバーを開けて、中まで細かく見てくれるほうが丁寧で安心だ」と思うかもしれません。ところが、本物の法定点検ほど、分電盤の内部を見ようとはしないのです。
一見すると矛盾しているこの現象なのですが、私自身がこの現象を経験しまして、本物はとにかく分電盤の蓋すらも開けたがらないのです。
関東電気保安協会の点検では、分電盤の中を頼んでも見てくれない

我が家に関東電気保安協会の点検が来た際、分電盤の周りをチャチャッと検電器で検査するだけなので、私は「分電盤の中も見てください」とお願いしたところ、「分電盤の蓋を開ける際に遮断器が下りたら困るのでできません」と言うのです。
じゃあ、蓋は私が開けると言ってみたら、今度は「分電盤の蓋は電気工事士でないと開けられませんよ」と頑なに断るのです。ところが、私は電気工事士の資格がありますので、免状を見せてから分電盤を開けると、そこでしぶしぶ内部を点検してくれるのです。
偽物は分電盤を買い替えさせるため、積極的に分電盤の蓋を開ける。本物はトラブルになることを恐れ、蓋を極力開けない。この違いはかなり明確な差だと思います。
本物が慎重なのは、不親切だからではない

本物の点検がそんなことで良いのかと思われるかもしれませんが、法定点検の役割は、利用者が期待するような詳細診断や交換判断とはだいぶ異なります。
電気設備に異常の兆候がないかを確認するのが主な役割で、内部の部品をひとつひとつ詳しく調べたり、その場で交換の要否を断定したりすることまでは前提にしていません。
なによりも、所有者の設備に不用意に踏み込むと、部品の破損や遮断器の作動など、別の問題が発生する可能性があります。本物の点検担当者がそっけない作業に見えたとしても、それは不親切だからではなく、立場上きわめて合理的な線引きでもあるのです。
詐欺業者は「仕事してくれた感」を演出する

一方、偽物の業者は、まさにその逆を行くわけで、「無料点検です」「地域を回っています」「このままだと危ない」と不安をあおり、分電盤を開けては「ここが古い」「交換しないと火事になる」などと話を進めます。
普通に見ると、外からチャチャッとほんの少しだけ確認して終わるよりも、いろいろ見てくれる業者のほうが熱心で親切に見えるかもしれませんが、分電盤ではその「仕事してくれた感」こそが、かえって危ないのです。
本物の法定点検と怪しい業者の違い
| 項目 | 本物の法定点検 | 怪しい業者・詐欺的訪問 |
|---|---|---|
| 訪問のきっかけ | 事前案内がある | 突然の電話・突然の訪問 |
| 所属の示し方 | 所属や点検の立場を明確にする | 電力会社や保安協会をあいまいに名乗る |
| 分電盤への態度 | 慎重。基本的に開けない | やたらと開けたがる |
| 点検の進め方 | 外側からの確認が中心 | 中を見せながら不安をあおる |
| 異常の伝え方 | 断定を避ける | 「危険」「古い」「すぐ交換」と強く言う |
| 契約の進め方 | その場で絶対に営業しない | その場で契約を迫る |
まとめ
分電盤の点検において、熱心さや親切さは、安全の証にはなりません。本物ほど責任の所在を明確にし、慎重に振る舞っています。
本物は分電盤の中を積極的には見てくれず、偽物は分電盤の中を見たがる。この違いだけでも覚えておくと、分電盤詐欺に遭う確率はかなり低くなると思うのです。
今回の話に近いものが下にあります👇






よくある疑問Q&A
Q. 関東電気保安協会の点検で分電盤の中を見ないのは普通?
A. 普通です。法定点検では、分電盤の中まで積極的に開けて見るほうがむしろ不自然です。こちらが電気工事士として開けるところまでしない限り、外側からの確認で終わります。
Q. 分電盤を開けてくれる業者は信用できる?
A. できません。訪問してきた業者が自分から分電盤を開け、不安をあおり、交換話まで始めたら疑うべきです。「中まで見てくれた」は信用の根拠になりません。
Q. 本物の法定点検は何を確認している?
A. 電気設備に異常の兆候があるかどうかです。部品を細かく点検したり、その場で交換が必要だと断定したりするのは役目ではありません。
Q. その場で分電盤交換を勧められたら詐欺?
A. その場で契約を迫るなら疑ってください。いったん断って、自分から公式窓口か信頼できる業者に確認するべきです。
Q. 分電盤詐欺に遭わないためにはどうすればいい?
A. 「中まで見てくれた」を信用しないことです。確認すべきなのは、事前案内、所属の明示、その場での営業の有無です。不安をあおられても、その場で決めてはいけません。
