
ホームセンターで300円くらいのコンセントを交換するだけで、業者に頼むと5,000円ほどかかる――そんな経験がきっかけで、私は「自分でできる範囲の電気工事は自分でやろう」と思い立ち、昨年、第二種電気工事士を受験しました。
電気の知識はまったくのゼロ。工具も持ったことがない状態から勉強を始め、何とか合格。その流れで、「せっかく覚えたし、上級ランクの第一種も受けてみるか」と、軽い気持ちで第一種にも挑戦してみました。
世間では「第一種の方がはるかに難しい」と言われます。実際、合格率を見ると第一種の技能は約58%(令和7年度実績)なのに対し、第二種は約72%(同)と、10ポイント以上の差があります。
ですが、私の実感は違います。個人的には、第二種の方が難しかった。
第二種は「複線図」と「工具の使い方」をゼロからマスターする必要があります。これが意外と時間がかかる。しかし逆に言えば、この2つができるようになっている人なら、第一種はかなりの高確率で合格できるはずです。
第一種電気工事士試験は第二種より難しいのか

個人的には、第二種の方が難しかったです。
第一種は第二種の延長線上にあります。ゼロから複線図や工具の扱いを覚える第二種の方が、壁が高いと感じました。第二種に合格している人なら、第一種はかなり現実的な目標になります。
もちろん、第一種固有の追加範囲は存在します。具体的には、地中配線、CVVケーブル、三相電動機、デルタ結線・スター結線、変圧器といった要素が加わります。特に技能試験では、地中配線まわりの作業が大きな山場になります。
合格率だけを見ると第一種の方が難しく見えますが、実際に受けた感想としては、ゼロから始める第二種の方がむしろ大変でした。
第一種電気工事士試験の筆記は過去問10年分の丸暗記で十分

第一種の筆記試験に合格するために、市販のテキストは一切不要です。必要なのは過去問10年分の丸暗記だけ。
YouTubeには第一種電気工事士の過去問を解説する動画が数多くあります。この動画を見て、答えの導き方を理解する。あるいは、それすら面倒なら、問題と答えをセットで丸暗記するだけでも十分です。
なぜなら、第一種の筆記試験(50問・4択)は、毎年ほぼ同じパターンだからです。
- 過去に出た問題がそのまま30問前後出る
- 数値や記号だけ変えた類題が15問前後出る
- 完全な新問は5問前後しかない
つまり、過去10年分の問題を丸暗記しておけば、それだけで合格ライン(50問中30問正解 = 60点)に到達します。残り20問は当てずっぽうでも、4分の1の確率で正解するので、ほぼ確実に合格できます。
初めのうちは何が何だか全然わからないと思いますが、理論は一切考えずに、とにかく答えを覚え続けてください。1週間もすれば、30問くらいは正解できるようになります。
勉強は試験の2か月前から始めれば十分。毎日の学習時間は5分〜30分程度で大丈夫です。暗記は忘れやすいので、毎日コツコツ続けることだけを意識してください。
ちなみに私は50問中46問正解(92点)でした。間違えた問題はすべて完全な新問で、正解した46問はすべて過去問からの出題でした。この結果からも、「暗記だけで十分」 というのは間違っていなかったと確信しています。
ただ、試験から数ヶ月経った今は、もうほとんど覚えていません。試験に受かるためだけの勉強法なので、これでいいのだと思っています。
第一種電気工事士試験の筆記は満点を狙わず、取れる問題を確実に取る

第一種の筆記は満点を狙う試験ではありません。
過去問で確実に取れる問題を積み上げて合格点を超える試験です。新問や難問を追いかけるより、過去問の反復を優先した方が効率が良いです。
- 50問中30問正解で合格(60点)
- 過去問そのままが30問前後出る
- 過去問を完璧にしておけば、それだけで合格ラインに届く
- 新問は深追いせず、取れる問題を確実に取る
私は46問正解できましたが、それは「過去問を確実に落とさなかった」からです。満点を狙うのではなく、確実に取れる問題を確実に取る。これが合格への最短ルートです。
第一種電気工事士試験の筆記勉強は毎日5分から30分でも回る
筆記は試験の2か月前から始めれば十分です。毎日5〜30分で大丈夫です。
理論より先に答えを覚えてしまうのがコツです。「なぜそうなるのか」を理解しようとするより、まずは問題と答えをセットで暗記してください。YouTubeの解説動画を使えば、後から自然と理解も深まります。
1週間くらいで30問前後取れる感触が出てくると思います。暗記は忘れやすいので、毎日コツコツ続けることだけを意識してください。
第一種電気工事士試験の技能は第二種合格者なら十分戦える
第二種技能ができる人には土台があります。
第一種は第二種の延長線上にあり、少し難易度が上がる程度です。複線図・工具の扱いができればかなり有利になると思います。
ただし不合格の最大の原因は未完成です。試験時間内に仕上げられないことが致命傷になります。
現場経験者でも試験対策なしでは未完成になることがあります。 実務と試験は別物で、時間制限と候補問題への対応が必要です。
現場経験者でも練習なしでは未完成になる

ここがこの体験談で特に言いたいことの一つです。
電気工事の現場に携わっている人でも、試験向けの練習をしないまま受けると未完成で終わることがあります。現場経験があっても、試験の形式(時間制限・事前公表の候補問題への対応)に慣れていないと、経験者が落ちることも珍しくありません。
だからこそ、候補問題は事前に公表されているのです。
手順と時間配分を覚えるために、候補問題の練習にはしっかりと意味があります。
技能試験で差がつくのは電工ナイフとCVVケーブル

ここがこの体験談で最も言いたいことです。
電工ナイフは軽視されがちですが、第一種ではかなり重要です。特にCVVケーブル処理で差が出ます。
現在の電気工事現場では電工ナイフを使う機会は減っているそうですが、第一種の技能試験ではCVVケーブルという特殊な電線を扱う問題が出ます。このCVVケーブル、通常のストリッパーでは被覆が剥きにくいんです。
特に中身のより線を剥くとき、ストリッパーだと上手くいかないことが多いので、初めから電工ナイフで剥いた方が早いです。私の実感では、ナイフを使いこなせるかどうかで、作業時間に結構な差が出ます。
怪我防止のため、最初は軍手やグローブを着けて練習した方が安心です。
候補問題No.10で撃沈する人が多い理由
実際に私が技能試験で出たのは候補問題No.10。この問題はCVVケーブルのみを使う特殊な問題でした。
試験会場の机は工具を置くスペースも十分に確保できないほど狭く、周りを見ると多くの受験者が悪戦苦闘していました。試験終了時に未完成だった方も結構いました。
原因はほぼ間違いなく、CVVケーブルの被覆剥きに時間がかかったから。この作業をいかにスムーズに行えるかが、合否を分ける大きなポイントです。
多くの受験者が電工ナイフを軽視しているため、No.10のような問題で時間を取られて未完成になります。
技能試験は作業スピードの差がそのまま結果に出ます。
技能対策はYouTubeが非常に有効

技能試験の勉強も、筆記と同じくYouTubeは非常に有効な学習手段です。
10個ある候補問題を組み上げていく動画を毎日1つずつ見て、飽きるほど繰り返し視聴していれば、複線図の書き方、電線の切る長さ、組み方の順番、欠陥になりやすいポイントなどが自然と頭に入ります。
実は私自身、ホームセンターで手に入るケーブルを使った実践練習はごく少量しか行わず、ほとんどが動画のイメージトレーニングだけでした。それでも合格できたのです。
実物練習が少ない人ほど、動画を活用する価値は大きいです。
第一種電気工事士試験に合格しても第一種電気工事士ではない

最後に、一番大事なことを書いておきます。
私は第一種電気工事士試験に合格しましたが、まだ「第一種電気工事士」ではありません。
試験合格と免状交付は別物です。第一種電気工事士の免状(資格証)を取得するには、試験合格に加えて3年以上の実務経験が必要です。
実務経験は試験合格の前後を通算できるため、第二種を取得して現場で経験を積みながら第一種試験を受けるのが効率的なルートです。
私は第二種を持っているので、家の中の電気工事(コンセント交換や照明器具の取り付けなど)は法律上できる立場にあります。でも、第一種として何かができるわけではありません。この記事は実務者目線ではなく、試験合格者目線の体験談です。
まとめ
- 第一種は第二種より極端に難しいとは感じませんでした。むしろゼロから始める第二種の方が壁が高かったです。
- 筆記は過去問10年分の丸暗記で十分対応できます。私は50問中46問正解(92点)でした。
- 技能は第二種経験者なら十分戦えます。ただしCVVケーブルと電工ナイフは軽視しない方がいいです。
- 現場経験者でも未完成になることがあります。 候補問題の事前練習は必須です。
- 自分は第一種電気工事士試験に合格しただけで、第一種電気工事士になったわけではありません。免状取得には実務経験3年以上が必要です。
結局は今でもド素人のままですが、ド素人だからこそ見えた、合格するためだけの邪道な学習法がありました。
Q&A
Q1. 第一種電気工事士試験は第二種より難しいですか?
A. 合格率で見れば難しいですが、第二種を乗り越えた人にとっては思ったほど高い壁ではありません。むしろゼロから始める第二種の方が難しく感じる人もいます。
Q2. 第一種電気工事士試験で増える範囲は何ですか?
A. 地中配線、CVVケーブル、三相電動機、デルタ結線・スター結線、変圧器などが追加されます。特に技能試験ではCVVケーブルの扱いが重要です。
Q3. 第一種電気工事士試験の筆記は過去問だけで合格できますか?
A. できます。過去問10年分を丸暗記すれば、過去問そのままの問題が50問中30問前後あります。私は50問中46問正解(92点)で合格しました。
Q4. 第一種電気工事士試験は何問正解で合格ですか?
A. 50問中30問正解(60点)以上で合格です。1問2点で、100点満点中60点が合格ラインです。
Q5. 第一種電気工事士試験の筆記で私は何問正解したのですか?
A. 50問中46問正解(92点)でした。間違えた問題はすべて完全な新問で、過去問からの出題はすべて正解しました。
Q6. 第一種電気工事士試験の技能で一番難しいのは何ですか?
A. CVVケーブルの処理です。電工ナイフを使った被覆剥きが難しく、時間を取られます。特にNo.10のような問題で苦戦する人が多いです。
Q7. 第一種電気工事士試験で電工ナイフはなぜ重要ですか?
A. CVVケーブルの被覆剥きはストリッパーだけではやりにくく、電工ナイフを使いこなせるかどうかで作業時間に大きな差が出るからです。
Q8. 候補問題No.10はなぜ未完成になりやすいのですか?
A. CVVケーブルの施工に時間がかかり、電工ナイフの扱いに慣れていないと作業が遅れるためです。私が受けたときも、未完成の受験者が多くいました。
Q9. 現場経験者でも技能試験で落ちることがありますか?
A. あります。実務と試験は別物で、時間制限や候補問題の形式に慣れていないと、現場経験者でも未完成で終わることが珍しくありません。
Q10. 第一種電気工事士試験に合格しても第一種電気工事士ではないのですか?
A. その通りです。試験合格に加えて、3年以上の実務経験が必要です。試験に合格しただけでは免状は交付されません。試験合格と免状交付は別物です。
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