
AliExpressのChoice商品は、早く届く商品で、返品返金が楽だと認識しているアリエクユーザーが多く、確かにそれは間違っていません。ただし、それだけがChoiceの正体ではないのです。
Choiceとは、運営元のAliExpressが価格・物流・購入後の対応にまで強く関与している商品であり、場合によっては商品の仕入れや価格設定にまで運営元が深く関与しているのです。
Choice商品の本当の姿を知ることは、アリエクユーザーにとっても有益な情報であり、お得に購入できる機会が増えると考えます。

Choice商品と、そうでない商品がAliExpressでは販売されておりますが、これらは明らかに差別化されていると購入する側にも分かります。「高速配送が一定額の購入で無料になる」「価格がかなり安い」「検索して出てくる商品はChoiceと表記されたものばかり」。ユーザーにとって、安く買えて送料無料、しかも早く届くのですから、Choice商品が主体で困ることは一切ありませんが、この差別化が最近一層進んでいるのです。
AliExpressは本来、楽天市場のようにいろいろな販売店が集う商店街的なECサイトで、各販売店がそれぞれ価格を決め、それぞれ在庫を持ち、それぞれ発送し、それぞれ購入後の対応をしていました。
しかし、Choice商品主体になった最近は、感覚的に運営元が強い権限を持って営業しているように見えるのです。この理由を探ってみたところ、この予想はどうやら当たっていました。
これを紐解く前に、現在のAliExpressには、以下の3種類のセラーが存在することを理解していただく必要があります。
POP(通常出店型)・半托管(一部委託型)・全托管(フル委託型)
まずは、この3種の販売形態をご説明します。※POP、半托管、全托管は中国国内での名称です。

POP(通常出店型)
POP(ポップ)は、AliExpressで古来から存在する、ごくごく一般的な販売店です。価格を決めるのも、商品ページを作るのも、発送するのも、購入後対応も販売店が行い、自由な商売が可能です。
ただし、Choiceの称号を商品に付けることができません。ですから、商品ページが無印の場合、その販売店はPOP(通常出店型)であると、ユーザーも認識できるのです。
POPのままでは、エスポ便などの高速配送が利用できず、店が発送する配送方法は郵便が主体。価格設定は自由なので販売店の利益率は高めです。POPで営業をしているのは、自社ブランドを確立している大規模店か、ニッチな商品やパチモノを販売する小規模店が主体で、AliExpress内での競争力は低いように感じます。
POPで購入したユーザーが返品や返金を求める際にはOpen Dispute(紛争)を行い、結果はAliExpressの裁定に委ねられ、それなりの時間がかかるのも特徴です。※追記:最新の情報では、POPでもChoiceの称号を得られるようになりました。ただし、そのハードルは異常に高く、割合はかなり低めです。
半托管(一部委託型)
半托管(バン・トゥオ・グァン / 日本語では「はんたくかん」)は、販売店と運営元のAliExpressが共同で販売をする形態です。価格設定の主導権は販売店側にありますが、物流や返品、販促については運営元が深く関与する代わりに、Choiceの称号が付けられて販売されます。
先程のPOP(通常出店型)に比べると、販売店の利益率は低下するものの、Choiceの枠組みの中に入ることから、無料高速配送や検索、配送運賃での優遇措置が得られるため、AliExpress内での競争力はかなり高まります。
また、販売後の返品や返金対応を運営元がしっかり行うので、販売店の負担がかなり減るのが最大の利点です。ただし、運営元の影響力がとても強く、値下げ要請、キャンペーンへの参加を強く求められることが多いとも言われております。
全托管(フル委託型)
全托管(チュエン・トゥオ・グァン / 日本語では「ぜんたくかん」)は、3つの中で最も運営元のAliExpress主導で販売される方法です。販売店は商品をAliExpressへ供給するだけで、それ以外の販売するプロセスは運営元に全ておまかせする販売方法になります。
委託販売の形なので利益率は最も低くなる一方、供給した商品をAliExpress自身がお金にしてくれるだけでなく、販売後のリスクを請け負わないので、最も楽な商売とも思えます。ただし、この全托管は月の商品供給が一定の水準でないと認められず、大きな工場や商社、大企業しか対象にはなっていないようです。
それと全托管(フル委託型)で特筆すべきは、運営元が価格設定の権限を全て持っていることです。
この形になると、AliExpressは単なるモールの運営者ではなく、Amazonが商品を仕入れて販売する『Amazon直販』や、Amazonが倉庫と発送を請け負う『FBA』に非常に似ております。
全托管の商品が増えているAliExpressは、知らず知らずのうちに、Amazonのような『巨大な小売業者』へと実は変貌を遂げているのです。

AliExpressの販売店は、POP(通常出店型)・半托管(一部委託型)・全托管(フル委託型)から成り立っていることと、Choice商品は一部委託とフル委託の商品から構成されていることがお判りいただけたと思います。
そして、現在のAliExpressを支えているのは紛れもなくChoice商品であり、運営元がかなりの権限を持って販売していることもお判りいただけたと思います。

この図式の中で、最も影響力が大きいのは販売店の運賃負担です。送料無料を売りとするAliExpressにおいて、商品を送料無料で販売することは店側にとって大きな負担なのは間違いありません。しかし、Choice商品か否かで送料負担がまるで変ってしまうのです。
Choice商品を扱えないPOPが発送する際の日本向け配送運賃はだいたい20〜30元台が中心で、重量によっては40元以上になることもあります(※1人民元≒24円です)。しかも、郵便などが主体なのでユーザーの元へ届くまでには時間がかかります。また、ワンランク上の配送方法にするため、別途で送料を徴取する販売店がPOPばかりに集中している構図も見受けられます。

一方、Choice商品は、運営元のAliExpressが配送の全てを請け負っているため、AliExpress標準配送のエスポ便という高速無料配送を多用します。半托管、全托管の販売店は、基本的にAliExpressの物流倉庫や集約拠点に商品を予め納品します。そして、注文が入り次第、AliExpress側がまとめて発送するので、運賃コストがかなり下がるのです。
先程、POPが支払う通常発送の場合の運賃は20〜30元台と申し上げましたが、Choice商品は委託型物流になるので、この時点で12〜18元以下まで運賃が下がります。さらに、AliExpressからの物流補助や各種免除も加わると、AliExpress標準配送の販売店負担は10〜15元前後だと推測され、POPが支払う運賃の半額で済んでしまうのです。

しかも、AliExpress標準配送のエスポ便は高速配送で、AliExpressは発送から3日から7日間で届くことを売りにしています。届くのが早く、運賃の負担も半額で済むため、Choice商品であるだけで競争力がさらに高まるのです。
AliExpressのChoice商品が安い理由は、単なる安売りや投げ売りが行われているわけではありません。AliExpress標準配送という表示名の裏側では、ESPO便ルートを使い、物流コストを大幅に圧縮し、販売店の送料を下げることで、ユーザーにもセラーにも不満のないサービスを成り立たせているのです。

Choiceの仕組みを徐々にお判りいただけていると思いますが、これらの図式を踏まえたうえで、お買い物時の挙動を思い返してください。
Choice商品を見ていると、値段がよく動いていると感じたことがありませんか?ただの気まぐれな値下げには到底思えない不自然な動きを。
朝と夜で価格が違う。セール前後で大きな価格変動が起きる。Choiceとそれ以外の商品の値動きにかなりの差がある。こういう挙動を見ていると、販売店がその都度手動で変えているというより、運営元が価格をまとめて動かしていると考えたほうが筋が通ります。
特に全托管では、販売価格の主導権を運営元が握ります。そうであれば、競合価格、物流コスト、販促条件、在庫回転を見ながら価格を動かすのは自然で、アルゴリズムによる自動価格調整が入っていないほうがおかしいのです。

Choiceを考えるうえで、破格に安い商品が揃っている『よりどり』を外すことができません。よりどりの商品は価格が物凄く変動するセールイベントであり、なによりも商品発送が非常に速いのも大きな特徴です。
同一のAliExpressの倉庫へ事前に商品が納品され、運営元が品質チェックを済ませているからこそ、よりどりは注文してから最短で30分後には商品発送が行われると考えます。また、よりどりの価格変動がかなり激しいことを鑑みると、全托管(フル委託)の商品だけで構成されていると推測できます。
全托管(フル委託)は、委託された商品をAliExpressが全ての権限を用いて販売を行いますが、どうしても在庫がダブつく商品が出てきます。その調整を行う場が『よりどり』だと私は考えます。

よりどりで販売されている商品は多岐にわたり、3点以上の購入で高速配送無料、さらには購入点数に応じて、320円~800円までの値引きが行われます。商品の金額ではなく、商品の点数によって割引率が変わるのは、ユーザーにとって有利に思えます。
しかし、本当の狙いは別にあると思うのです。3点買い以上の購入の仕組みは、価格と物流を運営元が強く握る商品群を、ユーザーの心理的なハードルを下げてまとめて動かします。そして、ダブついた商品のみをユーザーの注目度の高いよりどりにて放出する。しかも点数に応じて割引を高くしておけば、ユーザーは不要な商品もどんどん買ってくれる。結果、在庫調整が簡単に行えるのです。このように考えると、このよりどりの設計はかなり合理的で、なおかつ、ユーザーからも高い支持を得られるセールイベントになるのです。
よりどりは、気まぐれにただ安く売られるだけのイベントではなく、運営元のAliExpressが価格設定と物流を握る商品群のみを、ユーザーに要らない商品までも複数購入させることで一気に回転させる超戦略的な思惑があるのです。

Choiceの正体を探ってみると色々なことが見えてきます。Choiceとは、AliExpressの運営元が価格・物流・購入後の対応に強く関与し、従来の商店街的なECサイトから、Amazon型へ変貌するための手段なのです。
だからこそ、Choice商品は普通の商品よりも価格が変動し、出荷は速く送料も格安。検索でも上位に出現させる優遇があって、優先的におすすめ商品をユーザーにアピールさせます。それは、半托管や全托管から委託された商品を運営元が積極的に販売することで成り立っているのです。
購入するユーザーにとって、安くて早く届く商品である目印にしかならない『Choice』ですが、実に奥が深い理由が隠されているのです。
そして、Choice以外の商品は、かつてのアリエクのように届くのが遅く、誤発送などのトラブルに巻き込まれる確率が高くなるような気がするのです。返金や返品もChoiceとそうでないものの格差はかなり広がり、今後、ますますChoice商品の存在感が増し、あと数年後にはAliExpressはAmazonと同じ形態のECサイトへ変貌を遂げているかもしれません。
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