
AliExpressのChoice商品は、月に5回までなら理由を問わずに返品が無料と書かれています。実は、この一文は、そのまま額面通りに受け取らないほうが良いのですが(アリエクの「90日以内返品無料」は無条件ではない?気楽に返品可能なシステムではなく、むしろ罠がある)、不良品ではなく、ユーザーの好みと異なると言った理由でも返品ができるシステムにはなっています。
例えば、私が350円で購入したスマホケースが届いてみると、商品画像とはなにか微妙に違って、気に入らない。Choice商品だし「返品しようかな…」と返品手続きをしたとすると、この価格帯の場合、大抵は代金の350円が返金されて、スマホケースは返品しなくても良いという裁定が下ります。

なぜ、スマホケースを返品しなくていいのか?それは中国までの返送運賃が高額で、商品金額に見合わないからです。Choice商品が中国からどのくらいの運賃で日本へ届くのかというと、およそ700円ほどですが(1500円送料無料のChoiceは本当に赤字なのか?配送運賃700円でも利益が出るアリエクの構造)、日本から中国の場合はこれ以上の金額になるのは間違いありません。売価350円の商品を1000円から2000円の運賃をかけて返送するなんてことは馬鹿げているので、返送不要で返金されるのです。
この返品不要の返金を、アリエクセラーたちは「仅退款(ジンツイクアン)」と言い、この行為がセラーたちの経営を圧迫しているそうです。

なぜ、この返品なしの返金がセラーの経営を圧迫するか?調べてみると、私のようなユーザー側から見ても、少し理不尽に思えるルールが存在しているのです。
まずは、ユーザーの気に食わないとの理由で返品なしの返金が実行された場合、その商品代金はどのようになるのでしょうか?答えは、セラーには商品代金が支払われません。なぜなら、ユーザーへ商品代金を返金してしまったのだから。
しかも、ここからセラーにとってかなり理不尽なことが起こります。このユーザーに返金された取引であっても、セラーは運営するアリエクに販売手数料を支払わなければならず、「商品が返品されず、代金も支払われず、アリエクの販売手数料だけは取られる」という状況に陥るのです。

だったら、商品を返送しなくていいと決めたのは、運営するアリエクなんだから、セラーにはなんらかの販売保証があるはずだよね?、と私なんかは思います。しかし、アリエクからセラーに対して、補填やら保証は基本的に一切ないのです。
運営するアリエクは「顧客満足度」を最重要視する一方で、セラーの損失を補填しません。明らかな詐欺や悪質なバイヤーの場合、セラーが異議申し立て(ファイリング)できる余地もありますが、成功確率はそう高いものではないそうで、AliExpressの裁定は、圧倒的に購入者寄りのようです。
仮に、Choice商品で350円のスマホケースをユーザーが返品すると、セラーは以下のような損失が発生します。
| 損失項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| 商品代金(返金分) | 350円 |
| プラットフォーム手数料(約5%として) | 約18円 |
| 商品原価(仕入れ値・送料込み) | 約100円〜170円 |
| 合計損失 | 500円以上 |

セラーはユーザーから返品を食らうと商品代金以上の損失となり、安価な商品の場合には返送されず、販売手数料までむしり取られる三重苦になるのです。
このChoiceの返品返金システムは、圧倒的に「顧客の味方」をしているように見えます。まあ、確かにユーザー寄りのルールなのですが、実は、その背後には冷徹なコスト計算があるのです。
以下の表は、350円のスマホケースを中国まで返送した場合と、返品なしの返金の場合の運営するアリエク側の損失を計算した表です。
| 比較項目 | 通常の返品処理 | 仅退款(返品不要返金) |
|---|---|---|
| 返品送料(アリエク負担) | 1,000円以上 | 0円 |
| 倉庫処理コスト | 200~300円 | 0円 |
| 商品代金の返金 | 350円 | 350円 |
| AliExpressの総コスト | 約1,500円以上 | 約350円 |
この表から分かることは、運営するアリエクは返送せず返金のみを選択するだけで1,000円以上もコストを節約できるわけで、これは単なる「顧客サービス」ではなく、物流コストをセラーに転嫁する構造なのです。
この中にはもう一つの重要な戦略があります。それは、ユーザーに対して、返品手続きの面倒くささを排除し、顧客満足度を最大化して、「失敗しても損をしない」という安心感を植え付けることによって、再購入を促進させるのです。ユーザーとっては「アリエクは親切なECサイトだ」と感じますが、その親切の代償はセラーが一方的に支払わされている構図があるのです。

ただし、「仅退款」と呼ばれる返品なし返金は、すべての商品で発生するわけではなく、価格帯によって、大きく異なります。
| 商品価格 | 返品送料(参考) | 推奨される処理 | セラーの損失(概算) |
|---|---|---|---|
| 350円(スマホケース) | 1,500円 | 仅退款(返品不要) | 商品+代金(約500円超) |
| 2,000円 | 1,500円 | 返品+返金(検討) | 往復送料+手数料(約2,000円超) |
| 5,000円 | 1,500円 | 返品+返金(原則) | 往復送料+手数料(約2,000円超) |
低価格商品(1,000円以下)は、返品送料が商品価格を上回るため、返品なし返金が基本で、安い商品を売れば売るほど、セラーは「仅退款」のリスクに晒されます。
セラーのジレンマはおそらくここで、低価格で大量に売る戦略を取れば取るほど、「仅退款」による損失の確率も比例して増える構造で、薄利多売が、裏目に出る危険性があるのです。

私が仮にChoice商品の350円のスマホケースを気に食わないとの理由で返品しようとすると、その裏側では大きな動きが色々とあるのです。
もしも本当に返品を求めたとすると、私は結果的に無料でスマホケースを入手できたことになるでしょう。しかし、セラーは商品も代金も失い、さらに手数料まで支払っているというこの事実。そして、運営するアリエクは返品された商品でも販売手数料をせしめている。
それがアリエクのルールであり、買う側も売る側も管理する側もそのルールに則っていますから、なにもおかしいことなんてありません。ただ、Choice商品はセラーの損失の上で成り立っている部分が非常に大きく、アリエクの顧客が増えれば増えるほどセラーを圧迫し、最後には売る人間がいなくならないのかと、少し心配にもなりました。
| 画像 | 商品名 | 価格 | 割引率 | 注文数 | 高評価率 | 詳細 |
|---|---|---|---|---|---|---|
|
QCY MeloBuds N70 アダプティブANC ワイヤレスイヤホン | 7,627円 | 59% | 15,886 | 95.0% | 商品を見る > |
|
330W USB-C GaN 充電器 マルチポート高速充電ステーション | 3,688円 | 55% | 8,615 | 95.1% | 商品を見る > |
|
8BitDo Ultimate 2 ワイヤレスコントローラー | 4,384円 | 72% | 1,015 | 98.7% | 商品を見る > |
|
GL.iNet Slate 7 Wi-Fi 7 トラベルルーター | 22,029円 | 62% | 683 | 98.8% | 商品を見る > |
|
Xiaomi フォーカススタイラスペン 8192レベル | 10,626円 | 59% | 1,341 | 97.3% | 商品を見る > |
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今回の話に近いものが下にあります👇




Q. AliExpressのChoice商品は気に入らないだけでも返品できますか?
A. 本文では、不良品ではなくても、ユーザーの好みに合わないという理由で返品手続きができるシステムになっていると説明されています。特に低価格のChoice商品では、返品申請をすると、返送不要で返金される裁定が下ることがあるとされています。
Q. AliExpressの仅退款とは何ですか?
A. 仅退款(ジンツイクアン)とは、商品を返品せずに代金だけ返金する仕組みです。本文では、350円程度のスマホケースのような低価格商品で起こりやすく、中国までの返送運賃が商品価格に見合わないため、返送不要で返金されます。
Q. AliExpressの返品不要返金はなぜセラーを圧迫するのですか?
A. 本文では、返品不要返金が実行されると、セラーには商品代金が支払われず、さらに販売手数料までAliExpressに支払わなければなりません。つまり、商品も失い、売上も消え、手数料だけ取られる三重苦になり、安価な商品ほど損失が大きくなりやすい構造です。
Q. AliExpressはなぜ返品不要返金を選ぶのですか?
A.AliExpressが返品不要返金を選ぶ最大の理由はコスト削減です。通常返品では返品送料や倉庫処理費がかかりますが、返送なしなら商品代金の返金だけで済むため、1件あたり1,000円以上のコスト節約になります。関連する背景として1500円送料無料のChoiceは本当に赤字なのか?配送運賃700円でも利益が出るアリエクの構造をご覧ください。
Q. AliExpressの低価格Choice商品は返品不要返金になりやすいですか?
A. はい。1,000円以下の低価格商品は返品送料が商品価格を上回るため、返品なし返金が基本的に起こりやすいです。そのため、安い商品を大量に売るセラーほど、仅退款のリスクにさらされやすく、薄利多売が裏目に出る危険があります。
