「仕分けセンター」の無限ループと「フライト待ち」の正体。アリエクの謎めいた追跡情報をCainiaoの視点から読み解く

AliExpressから荷物が発送されると、毎日チェックしてしまう追跡情報。でも、その中に出てくる文言は分かりにくく、「仕分けセンターって何?」「なぜ『フライト待ち』で何日も止まるの?」「混載倉庫って?」といった疑問があると思います。

また、その追跡情報が出現している中で、実際にはどういったことが行われているのかは最も分かりづらく、謎に満ちたものでもあります。今回は、日本に届くまでの追跡情報を深く解剖し、セラーとアリエクの物流を支えるCainiao(菜鳥)の視点で、なにが行われているのかを探ってみます。

まずは、今回解剖する実際の追跡情報です。上から順番に荷物が動いていきます。

日時 ステータス
7月28日 03:31 配達員集荷済(国際配送会社が受け取りました)
7月28日 06:26 仕分けセンターで手続き中
7月28日 10:14 荷物が混載倉庫に到着しました
7月29日 06:58 仕分けセンターで手続き中
7月31日 19:12 輸出通関を開始
8月1日 00:00 フライト待ち
8月1日 09:33 発送国/地域を出国しました
8月2日 14:53 税関出発、引き渡し待機中
8月3日 07:38 荷物は配送に出ています
8月3日 13:28 荷物配達完了

注文したのが7月26日なので、配達完了までおよそ1週間強。この間、ユーザーにはただの文字列にしか見えない追跡ステータスの裏側で、実際に何が起きていたのかを、フェーズごとに見ていきましょう。

フェーズ1 集荷の瞬間(7月28日03:31)

「注文から2日が経過して、やっと動いた」これが、多くのユーザーが最初に抱く感想だと思いますが、実はここに、零細セラーの集荷事情が現れているのです。

深セン、広州、義烏といった都市部に拠点を持つセラーであれば、毎日決まった時間に専用ドライバーが回ってきます。しかし、1日数個しか出荷しない超零細セラーや個人セラーの場合、物流会社がわざわざ専用ドライバーを派遣するのはコスト的に見合いません。

となると、零細セラーは、自身がAliExpressのシステムでラベルを発行した後、近くの「菜鸟驿站(Cainiao Post、日本のコンビニ受け取りのような集配拠点)」や、Yanwen・Sunyouの営業所まで持ち込むケースが多いのです

また、最近では、Cainiaoのアプリ「菜鸟裹裹(Cainiao Guoguo)」を使って、個人でも「集荷依頼」ボタンを押し、近くのフリーランスの集荷ドライバーを呼ぶという方法も広がっているようです。「03:31」という早朝の記録は、そうしたドライバーが荷物をスキャンし、このネットワークに取り込んだ瞬間なのかもしれません。

フェーズ2 巨大ネットワークへの吸収(7月28日〜29日)

  • 7月28日 06:26 仕分けセンターで手続き中
  • 7月28日 10:14 荷物が混載倉庫に到着しました
  • 7月29日 06:58 仕分けセンターで手続き中

「仕分けセンター」と「混載倉庫」を行ったり来たりしています。この部分を見ていると、荷物が右往左往しているようで不安な気分にさせられますが、これは、Cainiaoが得意とする「集運(※集めて輸送するという意味)」という作業が行われているのです。

Cainiaoは2013年5月、アリババグループが中国国内の複数の物流企業と提携して設立した物流プラットフォームで、現在は約1,100の倉庫(総面積約1,650万平方メートル)、380以上の仕分けセンターを世界中に展開しています。

この巨大なインフラを使い、まず地域ごとの「仕分けセンター」で荷物の行き先(国別)とサイズが仕分けられます。次に「混載倉庫」へ送られ、ここで「異なるセラーから発送された、同じ住所宛の荷物」が1つの大きな袋や箱にまとめられます(合包)。そして、まとめられた荷物は、再び空港近くの「仕分けセンター」に戻り、飛行機への搭載準備に入ります。

この一連の作業が、仕分けセンターを行ったり来たりしているかのような追跡情報として現れるのです。

ちなみに、このシステムは郊外に拠点を持つセラーも、このシステムの恩恵を受けています。広い中国国内の郊外から荷物を発送しても、この巨大な混載倉庫で合流させることで、地理的なハンデを最小限にしているようです。

フェーズ3 出国前の最後の関門(7月31日〜8月1日)

  • 7月31日 19:12 輸出通関を開始
  • 8月1日 00:00 フライト待ち
  • 8月1日 09:33 発送国/地域を出国しました

7月31日から8月1日にかけて、追跡情報は「フライト待ち」のままで、ここは多くのユーザーをイラつかせる箇所なのですが、文字通りに航空便が飛び立つのを待っている状態のこともあります。

ただし、別の理由で待たされていることもあります。航空貨物のスペースは限られているため、Cainiaoはコストと効率を計算し、重量によるルート切り替えを行うことがあります。

例えば、この荷物が軽量品だった場合、Cainiaoのシステムが「自社専用便を待つより、中国郵政(China Post)のePacket(e郵宝)のネットワークに乗せたほうが、コストが安く安定している」と判断して荷物を急遽移すことがあるといいます。

また、逆もあって、元々はePacketで発送されたのに、「フライト待ち」の間に急遽変更されて佐川急便で荷物が届いたことも、個人的にはありました。(※詳しくはアリエクスプレスからChina Postで発送されたのに佐川急便で届けられた話をご覧ください)

「フライト待ち」から動かない理由は、飛行機がフライトをしない理由の他に、荷物の輸送方法が変更になることも関係しています。

フェーズ4 日本到着と配達(8月2日〜8月3日)

  • 8月2日 14:53 税関出発、引き渡し待機中
  • 8月3日 07:38 荷物は配送に出ています
  • 8月3日 13:28 荷物配達完了

日本へ入国し、税関をクリアした荷物は、ePacketの場合、日本郵便に引き渡されます。「税関出発」から「配送業者施設に到着」までの数時間のブランクは、通関後の荷物が川崎東の国際郵便局から、各地域の郵便局へトラックで移動している時間です。そして「荷物は配送に出ています」は、最寄りの郵便局の配達員が配達へ出発し、ポストに投函or荷物を手渡しされれば、荷物配達完了です。

セラーから追跡番号が通知され、その時点からAliExpressのアプリでは追跡情報がどんどん更新されます。

「仕分けセンターで手続き中」が交互に表示されたり、「フライト待ち」のままで何日も動かないと、なにか事故が発生したかと思いますが、その短い言葉の裏側に、実は様々な人間と荷物の動きが隠されているのです。

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