
中国のSNSでは、AliExpressで販売されるパチモノについて、ごく普通に語られていることをご紹介してきました。前回はアリエクで300円のイヤホンがAirPodsと認識する理由をお伝えしましたが、今回は製品を製造するOEM工場の実態についてお伝えします。
まず、OEMとは、他社ブランドを製造するメーカーのことでして、例えば、大手コンビニから依頼を受け、コンビニスイーツを製造する食品工場のことをOEMと言ったりします。
これを踏まえまして、中国語圏で語られるOEMの噂話を集めてみました。なお、中国語圏SNSを安全に覗くなら、NordVPNのようなVPNが役に立ちます。![]()

昼と夜で人格が変わるOEM工場
中国語圏のSNSでは、OEM工場の実態を表すかのような奇妙な標語をよく目にします。
白天做品牌,晚上做自己。 (昼はブランドのために作り、夜は自分のために作る。)

前々回から(パチモノは闇ではなく産業──中国語圏で公開される製造と流通の構造)お話していますが、これは『影ライン』と呼ばれる手法です。ブランド側の検査員が常駐する昼間はきっちりブランド製品を製造し、検査員が帰宅した後は寄せ集めのパーツを用いて製造し始める。こういった昼と夜で、同じ工場がまるで別の人格を持つことを、中国語圏のSNSではあけすけに語られているのです。
OEM工場の昼はブランドの監査が入って品質管理が厳しく、 製品の質が少しでも落ちると契約が解除されてしまうため、従業員一同、誰もが緊張して働きます。
しかし、夜になってブランド担当者は帰ると、QC(品質管理)の概念はなくなり、生産記録を残す必要もなくなる。でも、製造ラインがそこにあるし、製造する技術もちゃんとある。じゃあ、余っているパーツで作って自分たちの儲けにしちゃおう、という話になるとSNSでは公然と語られているのです。
OEM工場の夜:工場のために働く影の工場
OEM工場の夜の状況は、特に生々しく語られています。
- ブランド担当者が帰宅してからが本番
- QCチームもそこにいなくなる
- 生産記録を残す必要がない
- 工場長の裁量でラインを自由に動かせる(“影線主管”と呼ばれる役職)
- 原材料は工場が簡単に調達できる
- 従業員は疲れているので仕事が雑になる

中国語圏のSNSはこういったことを標語のように表現していました。
「影线没有品牌要求,只要能卖就行。」 (影ラインはブランド基準がない。売れればいい。)
先程の『白天做品牌,晚上做自己。 (昼はブランドのために作り、夜は自分のために作る。)』と同様、昼の工場はブランドのために一生懸命に働くが、 夜の工場は自分たちのために適当に働くのです。
こういった側面があるから、見た目はそのままなのに、お値段は格安で品質がとんでもないシロモノをAliExpressユーザーなら一度や二度は掴まされるのです。
影ラインはOEMの昼と夜の境界線で生まれる

日本人の感覚では『影ライン』は暗闇に感じるのですが、中国語圏のSNSでは闇ではなく、産業の一部として語られています。
厳密に言えば契約違反だと思えるのですが、違法行為だと考えている節はなさそうですし、産業構造の副産物として認識されているきらいがあります。
『昼はブランドのために作り、夜は自分のために作る』この標語のような書き込みが、私にはツボでして、こんなことをみんなで唱和している工場があったら、それはそれで面白い世界なのです。
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◆ 参考にした中国語圏の投稿・資料

● 小红书(RED)
影ラインの夜間稼働、素材変更、QC不在の投稿 https://www.xiaohongshu.com
● 知乎(Zhihu)
影ラインの構造、余剰品と影品の違い、品質の不安定さ https://www.zhihu.com
● 哔哩哔哩(Bilibili)
影ライン製造品の分解動画、素材差・工程差の解説 https://www.bilibili.com
● 雨果跨境(Hugo CrossBorder)
影ラインの流通構造、中仿・低仿の品質階級の説明 https://www.hc360.com
📝 注記
本記事で扱う「影ライン」「影工場」に関する内容は、 中国語圏SNS・掲示板・匿名投稿で語られる 噂話・一般論・産業構造の説明 をもとにしたものです。
実在を断言するものではなく、 中国語圏で語られる産業の裏側としての噂をご紹介するものです。
今回の話に近いものが下にあります




