
アリエクスプレスで買い物をしていて、カートの合計が1,400円あたりで止まってしまう。あるいは「よりどり3点」のコーナーで、どうしても欲しいものが2点しか見つからない。
そんなとき、画面に浮かび上がる「あと少しで送料無料」の文字は、実に絶妙な心理的プレッシャーをかけてきます。

通常、アリエクスプレスの送料は300円。別に払えない金額ではないのに、なぜか「送料に300円払うくらいなら、200円の小物を足して送料無料にした方が得だ」という思いに駆られます。
小銭入れから出ていく300円はなにも考えないのに、送料の300円には守銭奴と言っても良いほど出したくなくなるこの心理。
あと少しで送料無料になるのならと、数合わせのための買い物には、不思議と損をする感覚がありません。

そうして血眼になって探し出し、なんとか条件を満たすためだけにカートへ滑り込ませる商品には、不思議と定番の型があります。
・すぐにケバケバになり、マジックテープの破片がボロボロと落ちまくる配線留め(10個入り)
・あれば便利だろと買ってもペラペラ過ぎて使う機会すらないスマホスタンド
・配線を壁に這わせるのに便利そうで、実はすぐに粘着がなくなるケーブルガイド
・昔の黒電話のコードのように丸まっているケーブル保護カバー
・予備の予備ですら出番がなく、結局たまっていく一方の変換アダプタ
これらに共通するのは、安いから買ってみたものの、今すぐ必要ではないものなのです。注文した瞬間はミッションをコンプリートして満足なのですが、ビニール封筒に入って届くと、最初に欲しかった本命だけを取り出し、数合わせの小物は机の引き出しに入れたまま。
なんなら、「なんでこんなものが入っているんだろう」と購入したことすら忘れていた経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。

冷静に計算してみると、この行動はあまり合理的ではありません。送料300円をケチるために200円のスマホスタンドを足した場合、浮いたお金は実質100円。
もしそのスタンドが、使いにくくて一度も使わなかったとしたら、その200円は完全にドブに捨てたことになります。結果として「送料を払わなかった代わりに、金輪際使用しないゴミ候補を買い取った」だけになってしまうのです。
この「数合わせの儀式」が何度も繰り返されると、家の中に静かな変化が起きます。気がつけば引き出しの奥や棚の箱の中に、いつ買ったか分からない、でも捨てるには忍びないプラスチックの小物がじわじわと蓄積していくのです。
1回ずつの無駄は小さくても、積み重なることで私の生活空間は侵食されていきます。『塵も積もれば山となる』という言葉は、どちらかというとポジティブな意味がありますが、アリエクスプレスでは間違いなくネガティブ方向な言葉なのです。

アリエクスプレスでの賢いお買い物の仕方は、提示条件をあえて無視する強さを持つことなのかもしれません。
本当に欲しいものが1点しかなく、1,500円に届かないのであれば、潔く送料300円を払う方がトータルで安上がりなんですから。
でも、アリエクスプレスは送料無料、しかも安いとこびりついた記憶はなかなか消せません。今日も届いたくだらない商品を、私は机や押し入れの隙間にむりやり保管しているのです。
アリエクスプレスで見つけた体を動かす時間や外での時間が少し楽しくなる用品
今回の話に近いものが下にあります





