
AliExpressには「2TB・991円」という、物理的にありえないUSBメモリやmicroSDカードが大量に出品されています。本物の2TBなら数万円が相場なのに、なぜこんな安さで売れるのか?
これはコントローラーのファームウェア改ざんという、極めて悪質な加工を施されている詐欺です。今回は、この商品がどのように作られているのかを探ってみます。

USBメモリもmicroSDカードも、『NANDフラッシュ』が実際の記憶領域で、『コントローラー』がPCとフラッシュを仲介する制御チップとなる仕組みです。
そして、PCやスマホにUSBメモリもmicroSDカード差し込むと、起動する際にコントローラーへ「容量は?」と尋ね、その返答を無条件で信じるのが仕様です。
では、アリエクの偽装カードのコントローラーはというと、NANDフラッシュが実際には32GBにしか存在しないのに、平然と「2048GB(2TB)です」と嘘をつくのです。この返答をPCやスマホは無条件に素直に2TBだと認識してしまう。これが偽装の手口なのです。

その偽装に使われるのは大それた設備や機械では決してなく、世界中で流通する、以下のような廉価コントローラーが悪用されています。
- Alcor AU6989AN:台湾製。「偽装SDの主犯」と呼ばれ、MPToolでの書き換えが容易。
- Chipsbank CBM2099:中国製。華強北の「標準装備」。USBメモリでも頻繁に使用される。
- Alcor FC8308:容量偽装USBメモリでよく見られるコントローラー。
USBメモリやmicroSDカードの容量偽装を可能にするのが、工場用の量産ツール「MPTool」です。これを使えば、容量認識テーブルの改ざん、Bad Block(不良ブロック)の隠蔽、速度テストの偽装、シリアル番号やロゴ情報のコピーまで、自由自在にできてしまうのです。

USBメモリやmicroSDカードが偽装されていないかを計測する「H2testw」という便利な検証ツールがあります。アリエクで買ったものは、このH2testwでチェックして、偽装されているのか否かをチェックしないと怖くて使えません。
ただし、その偽装は、最初の32GB(実際の容量)だけ正常に動作するように細工されていることが多く、クイックテストや簡易テストでは異常が出ずに、「正常品」と誤認させてしまうのです。
H2testwを使ったことがある方ならお判りいただけると思いますが、この検証ツールはやたらと時間がかかるので、クイックテストにしてしまいがち。それを見越して、最近では初めの32GBだけ正常にする手口が増えています。

PCやスマホに差し込むと2TBと認識するのに、実際には32GB分の容量しかないとどうなるのか?
32GBを超えた領域にデータを書き込もうとすると、コントローラーは「ループ書き込み(オーバーライト)」を行います。偽装メモリの多くは、既存のデータ領域を上書きする単純なオーバーライト型ですが、Alcor系のコントローラーではリングバッファ型(循環書き込み)で、古いデータから順に上書きされ、循環して新しいデータが書き込まれていくのです。
始めに記録した際には書き込み成功と表示されるため、ユーザーはデータが保存されたと認識します。その後も記録自体はちゃんと行われるのですが、後からファイルを開こうとすると、上書きされた古いデータは消え去り、ファイルは「破損」として認識される。これが偽装メモリ、カードの最も悪質な点なのです。
この手の偽装を見破るにはやはりH2testwのフルテストしかありません。このテストを行うと、偽装されたものの場合、書き込み速度が極端に低下(10MB/sから10KB/sにまで落ちる)します。
これは、コントローラーが存在しない領域への書き込み要求を処理できず、エラー処理ループに入ることで速度が極端に低下するためで、その時点で偽装されているか否かが分かります。

アリエクにはなぜ偽装された記録媒体がごくごく当たり前に売られ、それらがいつまで経っても規制されないのでしょうか?
それは、偽装メモリの外装は極めて精巧で、UV印刷、レーザー刻印、ホログラムシール、本物パッケージの流用している場合もあって、見た目では取り締まれないことが1つ。
AIでの検知も行っていますが、中身が偽装されているのかを証明するには、先程のH2testwでチェックしなければならず、アリエクがそこまで検査しないのが2つ。
結局のところ、販売価格は怪しいものの、それが正真正銘の偽装だとは商品ページだけでは言えないという理由で、いつまで経ってもこの手の偽装品がアリエクでは販売され続けているのです。しかも、中にはAIが推奨して販売するものもあるのです。

アリエクユーザーはこういった偽装品をどのように見極めれば良いのか?
ある意味、答えは非常に簡単で、NANDフラッシュのスポット価格(市場価格)を知れば、偽装は一瞬で見抜けます。2TBが991円で販売されているということは、新車のレクサスが10万円で売られているのと同じくらい異常な価格設定なのです。
もしもこの手の商品を購入してしまったら、必ず「H2testw」などでフルテスト(Write + Verify:全領域への書き込みと読み込み検証)を行えば、それがどういうものなのかは判定できます。ただし、先程も申し上げましたが、クイックテストは意味をなさないのでご注意を。

実際、この偽装品のタチの悪いところは、初めの部分だけは使えるので偽装が発覚しづらく、バイヤープロテクションが切れた後に偽装が分かることが多い点です。
当然、返金も返品もできなくなっています。それよりも、記録されたものが勝手に上書きされるので、重要なデータが消失してしまう損害もあります。
安いものには訳がある。アリエクのUSBメモリ、マイクロSDカードに外付けSSDなど、大容量の記憶媒体なのに、数百円から2千円くらいで販売されているものは間違いなく偽装品です。
| 画像 | 商品名 | 価格 | 注文数 | 評価 | 詳細 |
|---|---|---|---|---|---|
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Lexar 2TB ブルー マイクロSDカード 最大160MB/秒 microSDXC UHS-I | 35,262円 | 3,741件 | ★4.7 | 商品を見る > |
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SanDisk Extreme PRO microSDカード+SDアダプター2TB 最大250MB/秒 UHS-I C10 | 63,828円 | 364件 | ★4.4 | 商品を見る > |
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Amazonベーシック 1TB microSDXCカード (アダプター付き) 読み取り速度最大200MB/秒 | 42,456円 | 632件 | ★4.6 | 商品を見る > |
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エレコム SSD 外付け 2TB USB3.2(Gen2) 読込速度500MB/秒 | 39,300円 | 1,898件 | ★4.3 | 商品を見る > |
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Amazon限定 バッファロー ポータブルSSD 1.0TB コンパクト USB3.2Gen1 | 19,800円 | 10,222件 | ★4.2 | 商品を見る > |
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今回の話に近いものが下にあります👇










Q. AliExpressの2TB・991円のUSBメモリやmicroSDカードは偽装品ですか?
A. はい。こうした異常に安い大容量USBメモリやmicroSDカードは、コントローラーのファームウェア改ざんによって容量を偽装した詐欺品です。PCやスマホはコントローラーの申告を信じるため、実際には32GB程度しかなくても、2TBとして認識してしまいます。
Q. USBメモリやmicroSDカードの容量偽装はどんな仕組みですか?
A. 容量偽装は、コントローラーがPCやスマホに対して「2048GBです」と嘘の容量を返すことで成立します。実際の記憶領域は小容量でも、起動時の容量確認では偽の値がそのまま通るため、ユーザー側は大容量メモリとして認識してしまいます。
Q. 容量偽装USBメモリや偽装microSDカードはH2testwのクイックテストで分かりますか?
A. いいえ。偽装品の多くは最初の32GBだけ正常に動作するよう細工されているため、クイックテストや簡易テストでは異常が出ず、正常品に見えてしまうのです。見破るにはH2testwのフルテストが必要です。
Q. 偽装USBメモリや偽装microSDカードで32GBを超えるとどうなりますか?
A. 32GBを超えた領域に書き込むと、コントローラーがループ書き込みや循環書き込みを行い、既存データを上書きします。そのため保存できたように見えても、後から開くと古いデータが消え、ファイル破損として認識されることがあります。
Q. AliExpressの偽装USBメモリや偽装microSDカードはどう見分ければいいですか?
A. 見分け方は、まずNANDフラッシュの市場価格と比べて不自然に安すぎないかを見ることです。さらに購入後は、H2testwなどでWrite + Verifyのフルテストを行い、全領域への書き込みと読み込み検証をしなければ安全とは言えません。クイックテストでは判定できません。
