AliExpress11.11セールの裏側:ユーザーには待ち遠しいセールでも、セラーにとっては地獄

アリエクユーザーにとっての11.11セールは、年に一度の安売りのお祭りです。しかし、販売するセラーにとっては、年に一度の生死をかけた戦場の「双11(※中国での11.11セールの名称・ダブルイレブン)」になります。

セラーの間では、11.11セールが終わる頃から「吃土(チートゥ)」という言葉が出てくるようになり、この意味は『土を食べて凌ぐしかない』つまり金を使い果たして、飢えをしのぐしかないということです。

買う側にとってのお祭りは、売る側にとっては地獄のカーニバルにもなりかねないほどのプレッシャーになるというのです。

アリエクユーザーは10月中旬ごろから少しそわそわして、11月に入った頃からAliExpress11.11セールのことを本格的に意識します。しかし、セラーたちの11.11セールは、11月よりずっと前の7月あたりから始まっているのです。

11.11セールで大量に販売するために、7月から8月頃に広州や義烏の工場に発注をかけて、在庫を確保しなければセールで売るものが確保できないのです。なぜなら、中国の工場全体が11.11セールに向けて大量受注で繁忙期を迎えるためであり、発注が遅れれば、生産そのものが間に合わなくなる可能性があるからです。

さらに、運営するアリエク側の圧力があります。現在のアリエクはChoice商品がメインとなっていますが、このChoice商品最大のメリットは配送スピードで、これを実現するためにはアリエクが運営する倉庫に商品在庫が存在することが必須条件です。

とてつもない注文が入る11.11セールに向けて、運営元は自社倉庫に商品在庫を潤沢に確保する必要があるため、セラーに対し、早期の倉庫入庫を強く推奨、あるいは事実上強制します。

仮にセラーがChoice商品を倉庫へ事前搬入できないとなると、11.11セール時のメイン会場に商品を掲載する権利を失うことすらあるようで、セラーは必死に在庫を搬入します。

ただし、11.11セールで売れ残れば、商品はアリエクの倉庫に滞留することになり、以後、高額な保管料が発生します。

本当に売れるのかが分からない状態であっても、運営元に倉庫へとにかく商品を搬入しろと言われるがままに、セラーは納品せざるを得ないのです。そして、その商品が売れたとしても、お金になるのが11月11日以降。セラーの資金は、在庫という形で11.11セールのかなり前から縛られていて、リスクも背負わされているのです。

セラーは11.11セールでの商品在庫をどうにか確保したら終わりでは当然ありません。その後には商品をお金にするための値付けという大事な作業があります。ただ、その値付けは今の売価1000円をセール時には800円にするといった単純なものでなく、2カ月ほどの時間をかけてじっくり行うのです。それが原価や定価のつり上げです。

11.11セールで『70%OFF』といった派手な割引を演出するために、9月頃から徐々に、商品ページ上の「原価(定価)」を吊り上げていく手法が横行します。なぜ、この時期からかというと、11.11セールの1カ月以上前にセールで販売する価格を決めなければなりません。それに伴い、通常価格から大きく値引きしていることを見せるためには、もう9月の時点で定価を吊り上げておく必要があるのです。

なぜ、大きな割引に見せる必要があるのかといえば、運営側は大きな値引きの商品を前面に出すからです。前面に出れば出るほど売れる確率が上昇するので、セラーは必至で割引率の調整をしているのです。アリエクの割引率が全く参考にならないのは、この動きがあるからなのです。

こうして迎えた11.11セール期間中、次にセラーへ降りかかってくるのが資金繰りのジレンマです。11.11セールは恐ろしい売り上げを記録しますが、当てがハズレて売れないとなれば命取りになる可能性があります。

また、無事に売れたとしても、その売り上げが収入として懐に入ってくるのは、アリエクの場合、ユーザーの元へ無事商品が届き、受領してもらってからなのでかなり後になってからの話。ユーザーが気に食わないとの理由で返品や返金を求めてきたら、その売り上げは当然貰えませんし、その商品が不良品だったらなおさらです。

売れた事実があったとしても、本当にお金になったのか否かが判明するのは、もっともっと先の話なのです。

中国のSNSでは、11.11セール後「売上は上がったが、手元にはほとんど残らなかった」という趣旨の投稿が毎年多く見られます。帳簿の上での売上は巨大でも、手元の現金は在庫の仕入れと倉庫代で枯渇して次の仕入れ資金が回らず、黒字倒産に近い状態に陥るセラーが後を絶たないといいます。

AliExpress11.11セールは年間を通して最も安く、最もお買い得であることは、ユーザーならば誰もが知っています。

しかし、売る側の方へ眼を向けると、ユーザーの能天気さとは一線画すシビアな戦いが3カ月4カ月前から起こっています。そして、最も11.11セールの恩恵があるのは、当然の話なのですが、販売手数料に倉庫代やら広告費などを色々な名目のお金が集中的に入ってくる、運営元のアリエクなのです。

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Q

Q. AliExpress 11.11セールは、セラーにとってどんな意味ですか?

A. AliExpress 11.11セールは、買う側にとっては年に一度の安売りのお祭りですが、売る側のセラーにとっては、生死をかけた戦場になり得ます。在庫確保、倉庫搬入、価格調整、資金繰りまでを数カ月前から準備しなければならず、売上が立っても手元資金が残りにくい構造があります。

Q

Q. AliExpress 11.11セールの準備は、いつから始まりますか?

A. ユーザーが本格的に意識し始めるのは10月中旬から11月にかけてですが、セラー側の準備はもっと早く、7月から8月頃には始まります。11.11セール向けの大量販売に備えて、工場への発注と在庫確保を前倒しで進めないと、生産が間に合わなくなる可能性があるためです。

Q

Q. AliExpress Choice商品は、11.11セール前に倉庫搬入が必要ですか?

A. Choice商品の強みは配送スピードで、その前提としてAliExpress側の倉庫に在庫があることが重要になります。そのため11.11セール前には、セラーは早い段階で倉庫搬入を求められ、事前搬入ができないと露出面で不利になる可能性があります。一方で、売れ残れば保管料負担が発生し、資金は在庫の形で長く拘束されます。

Q

Q. AliExpress 11.11セールの割引率は、本当に参考になりますか?

A. 必ずしも参考になるとは限りません。11.11セールでは大きな値引きに見せるために、9月頃から通常価格や参考価格が引き上げられて見える商品もあります。セラーにとっては、運営側に目立つ割引率の商品として見せることが重要になるため、表示上の割引率だけでは実際のお得度を判断できません。

Q

Q. AliExpress 11.11セールで一番恩恵があるのは誰ですか?

A. ユーザーは安く買え、セラーは大きな売上を狙えますが、最も安定して恩恵を受けやすいのは運営側です。販売手数料、倉庫関連費用、広告費など、さまざまな名目の収益がセール期間に集中し、在庫リスクを直接抱えるセラーよりも有利な立場にあります。