高齢者にスマホを教える仕事は上位クラスの辛さがあるような気がした話

生きていく上で必ず必要となるのがお金でして、中にはお金に全く困らない方もいらっしゃるのでしょうが、お金のために労働することは多くの方々にとってごくごく一般的なことです。

働くうえにおいて、できたら楽な方が良いと考えるのは当たり前の話ですが、労働においての『楽』は千差万別で、傍から見ると楽そうに見える労働が当人にはとんでもない重労働だったり、またその逆もしかりだったりもします。

労働の楽さ、辛さは働く当人にしか分からないものだと思うのですが、先日、たまたま目撃した仕事は、勝手ながら、なかなかの辛さがあるように個人的には思えました。

私がよく買い物へ行くスーパーのすぐ隣に、いつ見てもお客さんで賑わっている大手携帯電話のキャリアショップがあるのですが、その日は特にお客が多く、お店の外に机を並べて特設的に対応している光景がありました。

私自身もそのキャリアショップの回線を使用する人間の一人ですが、キャリアショップに行ってなにか購入したり、変更をお願いしたりすることが一切ないので、なぜここまでお客が来るのかという単純な疑問を解決するために、買い物袋をぶる下げつつ、不審者にならないように気を配りながら特設会場を観察してみました。

眺めていて分かったのは、お客さんの90%は高齢者に分類できる方々で、どうやら地域振興の一環で行われる買い物をスマホ決済で行うとポイントバッグされるイベントに参加するために、自身のスマホ端末へ決済アプリをインストールして貰おうという方々が押し寄せていたようです。

色々なスマホ決済がありますが、そのどれもがスマホの電話番号とメールアドレスさえあれば登録ができ、あとはコンビニ等で入金すればすぐに使うことができるようになるはずで、そう大した作業はないように思えますが、相談されている方々を見ているとそうではなさそうです。

まずはApp StoreやGoogle Playへログインできないから始まり、『電話番号が分からない』『メールアドレスなんて知らないけど早くスマホ決済ができるようにして頂戴』といった声がすぐに二手の方向より聞こえてきました。

どうにかこうにかメールアドレスが分かったとしても、自分で設定したであろうメールアドレスが長過ぎて入力するのが面倒くさい、@を入れたいけどどこにあるのか分からないとの声に対し、ショップの店員さんがその都度入力してあげる、といった構図が至る所で見られました。

それよりも気になることが一つありまして、店員さんは優しくいちいち丁寧に話しているのに、どうしても出てきてしまうアプリやらログインといった横文字が理解できないことに腹が立つのか、一部の高齢者が『分かりやすく言え』『黙って全部お前がやれ』といった高圧的な怒り口調を店員さんにぶつけたりしています。

スケベ根性丸出しでポイント乞食するなら黙っててめえの力だけでやりやがれ、と傍で聞いているただの部外者である私だって思うのに、そんなことは意に介さず、笑顔のままで対応する店員さんのプロ根性は相当に凄いと感心してしまいました。

いつも混んでいるこのキャリアショップは、そういえば高齢者の方々がいつも多いような気がして、混雑の原因はこういったことなのかと理解ができつつ、大手キャリアの通信料金が割高なのは、こういったことの料金も含まれていることを実感でき、なおかつ、傍から見ると辛そうに思えた出来事などものともせずに、笑顔で対応するショップの店員さんのプロ意識も垣間見れた、というお話でした。