100円×3品でなぜ送料無料が可能? アリエクの「よりどり」が赤字でも売り続ける理由――したたかな集客戦略の構造

AliExpressには「よりどり」という目玉イベントが日々行われていて、100円前後の商品であっても、3品以上を購入すると送料無料になってしまいます。

例えば、100円の商品を3個だけ購入すれば、支払額は300円で送料無料。しかも、高速配送が使われ、待ったとしても1週間以内に荷物は玄関先へ置き配で届いてしまうのです。

普通に考えれば、「いや、これは安すぎないか?」となります。

前回の記事(※1500円送料無料のChoiceは本当に赤字なのか?配送運賃700円でも利益が出るアリエクの構造)では、AliExpressの日本国内配送について、配達員の報酬などから逆算し、荷物1個あたり700円程度のコストが発生しているのではないかと推測しました。

もしそれが本当なら、100円の商品を3個、合計300円で送料無料にするのは大損であり、商売上、アリエクになんの利点があるというのでしょうか?

ただ、話はそう単純なものではないのです。

各ユーザー宅へ配達する以上、配送運賃はどうしてもかかる費用であり、これをゼロにする秘策はありませんから、よりどりにて100円の商品を3個、合計300円といった買い物は、アリエク側は間違いなく赤字です。

ところが、アリエク側はたった一回の注文だけで損益を判断しているわけではないのです。

例えば、100円の商品を見つけて「これ安いな。欲しいな」とユーザーが思うと、次は「あと2個選べば送料無料か」と考えて、もうあと2個の商品を選びます。

そして、「思ったよりも早く届いて、商品も悪くないな」とユーザーに思わせたら、もうそれはアリエク側の勝利。次に何か欲しいものが出ててきたら、ユーザーは「この前買ったAliExpressでまた探してみよう。安かったし」となります。

最初は300円のみの注文で、明らかに送料を考えると赤字でしたが、アリエクのフィールドにユーザーを引き込むことに成功すれば、この採算は意味が大きく変わってきます。

初めはお試しの300円だったとしても、そこでの成功体験は財布の紐をゆるゆるに緩めることにも繋がります。次もユーザーがよりどりで買おうとすれば、送料無料の3品では飽き足らず、下手をすると800円値引きの20品まで商品を買うかもしれません。また、商品単価も100円のものではなく、500円1000円と上がっていくでしょう。

ユーザーにこの消費行動を取らせたら、アリエク側の圧倒的勝利ともいえ、次はよりどりではなく、Choice商品1500円以上の購入で送料無料など、ユーザーはアリエクで何の抵抗なく購入するようになります。

100円の商品を3個、合計300円。これだけを見れば、「こんな値段で送料無料にしたら赤字じゃないの?」その答えは100%正解です。

しかし実際には、物流を再編してコストを圧縮して赤字を最小限にして、ユーザーの満足度、充実度のための先行投資として赤字でも良いから販売。とにかく、自らのフィールドに引き込んでしまえば、初めの赤字なんて後からいくらでも回収できるのです。

魚釣りには餌が必要で、なにも付いていない釣り針に魚は食らいついてはくれません。そして、餌が何でもいいわけでもありません。アリエクのよりどりは、新規ユーザーにも古参のユーザーにも、その次に高確率で繋がる極上な餌だったのです。

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