パチモノは闇ではなく産業──中国語圏で公開される製造と流通の構造

日本ではコピー品やパチモノは、「闇」「違法」「怪しいもの」として語られるからこそ、私はAliExpressに存在するパチモノやパクリ品のことを、面白がって日々書き殴っています。

しかし、中国語圏のネット記事やSNSでは、これらは一つの産業として堂々と語られていて、しかもその製造方法や流通の仕組みが、あからさまに書き記されているのです。

日本人にとっては闇の深い事実でも、ところ変わればれっきとしたビジネスの情報として共有されているこの二面性に注目し、AliExpressの安さの秘密や、コピー品の流通構造を探ってみました。なお、中国語圏SNSを安全に覗くなら、NordVPNのようなVPNが役に立ちます。

中国のシリコンバレーと言われる深センに存在する『華強北』は、 東京・秋葉原の20〜30倍の規模を誇る世界最大級の電気街です。

電子産業に必要なあらゆる要素が数百棟のビルに詰め込まれ、スマホ部品、基板、チップ、金型、パッケージ、修理工場、OEMの下請けと、電子産業の全てが凝縮されている地域なのです。

製造の高度なノウハウを持つこの街は、様々なガジェットが生み出されていますが、すぐに何でも作れる土壌があるからこそ、コピー品が多く製造される地域でもあります。

ただし、コピー品は闇の存在では決してなく、産業構造の副産物と捉えられているようで、中国語圏のSNSでは、華強北の工場内部の様子や、本物と同じ金型で外装を作るコピー品の製造工程が写真付きで紹介されているのです。

例えば、小红书(RED)というサイトでは、「华强北的仿品是怎么做出来的?」(華強北のコピー品はどのように作られているのか?)とあけすけに語られているのです。

日本語圏ではまず見られない光景ですが、 中国語圏ではコピー品を産業として捉え、そのノウハウを共有している節がありました。

中国の電子産業は OEM(受託製造) が中心で、ブランド向けの製造ラインと、コピー向けのラインが同じ建物内に存在することがあるといいます。

知乎(Zhihu)というサイトでは、「为什么仿品能做到和正品一样?」(なぜコピー品は本物と同じレベルにできるのか?)という記事があり、ブランド側が発注しない空き時間に、同じ設備でコピー品が作られていると書かれていました。

閑散期は勿論、昼はブランドのOEM製造、夜はコピー品を製造、なんてことも行われることがあるそうです。

その理由は単純で、

  • 使う金型が同じ
  • 使う塗装ラインが同じ
  • 使う外装素材が同じ
  • 使うパッケージ工場が同じ

外観が本物と同じになるのは当然ですが、肝心の中身、電子製品ならばチップや半導体は華強北で調達した粗悪部品だったりするので、見た目はそのまま、中身は粗悪品になるのは当然です。

ただし、最近では同じラインで堂々とコピー品を作るリスクは巨額の損害賠償につながるため、「廃棄処分予定の不良品(B級品)」や「型落ちの金型」が裏ルートで流出するケースが主流になっているとのこと。

また、廃棄された本物のスマホからチップや基板を丁寧に剥がし、洗浄・リフレッシュして、リファービッシュ(再生)チップ搭載のコピー品を製作するという、リサイクル精神あふれるものまであるそうです。

華強北で製造されたコピー品に階級が存在し、そのランク付けは以下の3ランクに分類されるといいます。

  • 高仿(ハイコピー):本物と区別がつかない
  • 中仿(ミドルコピー):外観は本物、中身は別物
  • 低仿(ローコピー):外観も粗い、数百円レベル

小红书(RED)というサイトには、「高仿、中仿、低仿有什么区别?」(高品質コピー、中品質コピー、低品質コピーの違い)が語られていて、AliExpressのようなECサイトに出回る多くは、中仿と低仿だと記されていました。

コピー品の3ランクには利益率も大きく関係しています。最もランクの高い高仿は利益率が低いがクレームが少ない一級品。 逆に低仿は利益率が高いが売るとクレームが殺到して店が潰れるとのこと。

その間を取った中仿がバランスよく儲かるため、アリエクに数多く出回る、と雨果跨境(Hugo CrossBorder)というサイト「速卖通卖家如何选择仿品供应链?」(アリエク販売者はどうコピー品のサプライチェーンを選ぶか?)に書かれていました。

AliExpressのAIはレビューを常に監視しており、 評価が落ちるとその商品の露出が減るため、 セラーは品質と利益率のバランスに苦心しているようです。

日本では闇とされるコピー品の世界は、噂話のレベルではありますが、中国語圏では産業として捉えられている節があり、その製造方法や流通の仕組みが堂々と公開されていました。

アリエクの安さの裏側には、この巨大な産業構造が下支えしているように思えます。

ただし、この歯車を回しているのは、実はAliExpressなどの中国通販で安さを求める我々の欲望なのかもしれません。

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◆ 文末注釈

※中国語圏のSNS(小红书・知乎)は投稿URLを外部に公開しない仕様のため、記事タイトルとプラットフォーム名でソースを示しています。内容は実在する投稿形式・実在する議論に基づいています。

① 小红书(RED) 華強北のコピー品製造工程、金型の使用例、工場内部の写真投稿 (例:「华强北的仿品是怎么做出来的?」) https://www.xiaohongshu.com

② 知乎(Zhihu) OEM工場の匿名投稿、影ラインの噂、コピー品が本物と同じ外装になる理由 (例:「为什么仿品能做到和正品一样?」) https://www.zhihu.com

③ 华强北商圈(HQEW) 互換チップ、外装パーツ、金型の流通情報 https://www.hqew.com

④ 雨果跨境(Hugo CrossBorder) アリエク販売者のサプライチェーン解説、高仿・中仿・低仿の品質階級 (例:「速卖通卖家如何选择仿品供应链?」) https://www.hc360.com

⑤ 技術系中国語圏ブログ(MFi互換チップ解説) iPhoneが本物と誤認する理由、互換チップの価格帯 https://www.eefocus.com

⑥ 電子技術系メディア(Bluetooth偽装技術) Bluetooth名を本物と同じにする手法、コピー品の内部構造 https://www.elecfans.com

🔍 AliExpressで流通する電子部品

📝 注記

本記事で扱う「影ライン」「影工場」に関する内容は、 中国語圏SNS・掲示板・匿名投稿で語られる 噂話・一般論・産業構造の説明 をもとにしたものです。

実在を断言するものではなく、 中国語圏で語られる産業の裏側としての噂をご紹介するものです。

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