
AliExpressで別々の3つのストアから購入したのに、1つの袋にちゃんとまとめられて、同時に届いた。こんな経験はアリエクユーザーならば誰もが経験していると思います。
この「まとめ買い・まとめて配送」を支えているのが、Cainiaoが誇る「集運(※集めて輸送するという意味)システム」です。単に荷物を袋にまとめるだけの作業ではなく、AI、ロボット、そして作業員の協調によって成り立つこのシステムは、想像以上に大規模な物流オペレーションなのです。
前回記事(「仕分けセンター」の無限ループと「フライト待ち」の正体)に引き続き、今回もアリエクを支える物流について深掘りし、大規模物流の全容と、裏側で実際になにが起きているのかを探ってみます。

まず、この集運倉庫は、深圳、東莞、杭州、義烏など、中国各地にCainiaoの倉庫が点在していて、どれも桁違いの大きさを誇ります。
そして、ピーク時には1日220万個の荷物を処理した実績があるくらい、日々、膨大な荷物を取り扱っているのです。そんな大量の荷物の中から、私が別々のセラーから購入した安物商品がどのようにしてひとまとめの荷物になるのか。そのプロセスを4つのステップで追ってみましょう。

ステップ1 入荷とデータ登録
私が別々の3人のセラーから購入した荷物は、それぞれのセラーがアリエク倉庫へ発送して、中国各地の巨大倉庫に到着します。
倉庫の作業員がこの荷物をベルトコンベアに乗せると、バーコードやQRコードを読み取り、この瞬間、荷物はCainiaoのシステム上でデータとして認識されて、「誰が、どの国へ、どの商品を送るか」の情報が登録されます。
ステップ2 AIによる宛先マッチング
次はCainiaoのAIが、倉庫内を流れる膨大な荷物データの中から、同一のユーザーへ向かう複数の荷物を統合するべく、最適化がリアルタイムで行われます。
国境をまたぐ注文に対するAIの最適化処理は、10ミリ秒級という速さで動いているとされ、「どの荷物と、どの荷物をまとめるべきか」の判断が、ほぼ瞬時に行われています。
ステップ3 自動仕分けと合包
マッチングされた荷物は、自動仕分け機によって同じ宛先の荷物同士が物理的に集めらます。集められた荷物は、Cainiaoが開発したスマートパッキングアルゴリズムを使い、効率的に梱包されていきます。
1時間あたり600個の荷物をピッキングした実績を持つ、AGV(無人搬送車)が荷物を作業員の元へ運びます。ただし、このシステムは人間の力も加わるからなのか、ごくたまに失敗することもあります。詳しくは、こちらのアリエクスプレスのおまとめ配送で、なぜかノルウェー行きの荷物が我が家へ届いた話をご覧ください。

ステップ4 新しいラベルの発行と国際便への搭載
まとめられた荷物は、おなじみのグレーのビニール封筒にひとまとめにされ、新しい国際配送ラベルが1つだけ発行されて貼り付けられます。
私が別々の販売店で購入した商品は、このシステムのおかげで「1つの国際貨物」として生まれ変わり、その後、上海や深圳といった国際ハブ倉庫へ向けて搬出され、飛行機やフェリーに積み込まれていきます。

この集運の仕組みは、AliExpressの「Choice」には本当に欠かせないものとなっています。
Choice商品の多くは、セラーがあらかじめCainiaoの倉庫に在庫を預けておく「事前入庫型」となっています。注文が入った時点で、すでに商品が倉庫内にあれば、同一住所のマッチングから梱包への時間が大幅に短縮できます。
そして、複数の荷物を1つにまとめることで、国際運賃や通関手続きにかかるコストを大きく削減できます。この削減効果こそが、AliExpressが買い手に「送料無料」や割引を提供できる、原資の一つになっていると考えられます。また、Choice商品の真相につきましては、こちらのChoiceはなぜ安いのか? AliExpressの裏側にある3つの販売形態と物流の秘密をご覧ください。

このシステムがもたらす恩恵は、単なる「便利さ」だけにとどまりません。アリエク、ユーザー、セラーの立場から見てみると、それぞれに違う意味を持っていることが分かります。
| 立場 | もたらされる恩恵 |
|---|---|
| Cainiao(アリエク)側 | 複数回分の国際運賃・通関手続きを1回分に統合でき、コストを劇的に削減できる。このスケールメリットが、AliExpress全体の価格競争力を支えている |
| ユーザー側 | 複数回のポスト確認や再配達の手間が省ける。梱包資材の削減や輸送効率の向上により、CO2排出量の削減にもつながる |
| セラー側 | 自社で国際発送する手間とコストから解放される。Cainiaoのネットワークを活用することで、世界中のユーザーに迅速に商品を届けられ、販売そのものに集中できる |
追跡情報に表示される、たった一行の「荷物が混載倉庫に到着しました」には、広大な倉庫、AIによる瞬時のマッチング、そして無数の荷物をまとめ上げる人間とロボットの協調作業という、壮大なオペレーションが隠れています。
AliExpressの物流は、単なる「モノの移動」ではなく、AI、ロボット、そして人間が絡み合った、サプライチェーンの中でも、かなり先進的な構造をしているのです。
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