1.7万円の爆安PCに挑んだ日々。GearBestとJumperが教えてくれた「ガジェットのロマンと泥沼」

前回、GearBestの興亡史(GearBest興亡史:「Flash Sale」の幻想と、ROM焼き終焉が招いた没落)をお伝えしましたが、もう少しだけお伝えしたいことがありまして、それはJumperというPCメーカーとの関係性です。

2016年ごろ、GearBestのFlash Saleは熱狂を生んでいましたが、そこにはいつも2万円以内で購入可能なJumperのノートパソコンがありました。

Intel Celeron / Nシリーズで、Windows10が搭載されたEzBookシリーズは、GearBestのFlash Saleで1.7万円ほどで販売されて注文が殺到し、買うから売れる、売れるから買うの好循環がしょっちゅう見られました。

10年前の話ではありますが、1.7万円で買えるノートパソコンなんて、GearBest以外でお目にかかったことがなく、世界中の人々が挙って購入していました。

ただし、安いものには訳があるという言葉はよくできているもので、実は、このJumperにも大きな理由が隠されていました。届いたPCの電源を入れてデバイスマネージャーを見てみると、そこには、黄色いビックリマークの「不明なデバイス」がずらりと並び、Wi-Fi、タッチパネル、サウンド、Bluetoothのいずれか、あるいはすべてが機能しないのです。

Jumper公式サイトに行っても、ドライバーのページは存在しませんし、 リンクが消滅していることも珍しくありませんでした。ですので、Jumperを買ったら、まずMicrosoft公式からISOをダウンロードUSBメモリに焼いて、クリーンインストールを行うのがベストでした。

JumperPCは使うのではなく、RPGゲームのようにまずは育てることが大事だったのです。

ただ、クリーンインストールが絶対に有効ではありません。USBメモリを差してしばらくすると、新品でWindows10が搭載されているはずなのに、「ライセンス認証されていません」と赤文字で警告してくるのです。

半ば諦め、泣きながらカスタマーサポートにメールで問い合わせをしてみると、「こちらのプロダクトキーを入力してください」との一文と共に添付されているのは、どこから調達したのか分からない謎のキー。

これはおそらく、Windows 7 ProfessionalのボリュームライセンスキーやWindows 8の企業向けキーを流用している気がしますが、背に腹は代えられません。試しに打ち込んでみると、右下に浮かぶ「ライセンス認証を推奨します」という透かしが出て、この行為は誰が悪いのかを自問自答していました。

それとJumper PCにはある特徴がありまして、それは6GBや12GBという奇妙なメモリ容量です。一般的なPCメーカーなら、 4GB・8GB・16GBという4の倍数で揃えますが、当時のJumper製品のスペックは、4GB、6GB、8GB、12GBと多彩です。

理由はおそらくただ一つ。「4GBでは売れない、8GBでは高い」 その狭間の需要を原価ギリギリで突くためで、基板にメモリを直付けするオンボード方式なら、 4GB+2GB=6GB・8GB+4GB=12GBと安く容量を増やせるからです。これらは技術的最適化ではなく、その時点で最も安く組める手法で即製品化してしまう文化が色濃かったように感じます。

GearBestのFlash Saleで販売されるJumper PCは本当によく売れていました。でも、その販売手法は、在庫なし先行販売という自転車操業で、 発送遅延が常態化し、キャンセルが日常化し始めます。

そして、返金トラブルの多発により、PayPalや主要クレジットカード会社がGearBestを切ることで致命傷となり、GearBestは終焉を迎えました。

GearBestといえば、Jumperを真っ先に思い出すほど、切っても切れない仲のように傍から見えましたが、じゃあ、現在のJumperはというと、AliExpressでも滅多に見かけなくなってしまいました。でも、Jumperはちゃんと生き残っているのです。

アリエクでも見かけないJumperの生存が確認できる場所は、なんと日本のアマゾンなのです。しかも、深セン在住のおそらく転売業者が細々とJumper PCを販売していて、この構図はなかなか興味深いのです。

現在のJumper製品は、少なくとも私がレビューを確認した限りでは、過去のようなドライバー問題やライセンス認証トラブルは見受けられません。OSもWindows 11 Homeを搭載し、まともなPCとして販売されているようです。

でも、皮肉なことに、グラグラに不安定だった頃の方が人々は熱狂するように購入していました。もちろん、価格が安いことが第一の理由ですが、育てるPCの需要はなかなかバカにならないのです。

あの見た目が丸パクリで雰囲気だけは高性能、でも、中身は相当なポンコツのJumper PCを使っていたことがあるのなら、AmazonのJumperの販売ページで生存確認だけでもしてあげてください

今回の話に近いものが下にあります👇

GearBest興亡史:「Flash Sale」の幻想と、ROM焼き終焉が招いた没落
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