アリエクスプレスでなかなか届かなかった配送業者が今ではパンダを輸送していた話

現在のアリエクスプレスの配送方法は、そのほとんどが自社が構築した輸送経路で日本まで素早く届きますが、以前はというと、購入するお店によって配送方法はバラバラでした。

日本人からすると、中国から日本までの配送ルートはせいぜい航空便と船便の2種類くらいだと想像しますが、実際には無数に存在しており、配送業者もいくつもありました。

アリエクスプレスは送料が無料であることが大きな魅力の一つですが、その送料無料を実現するために配送運賃をより安くするべく、数多くの配送ルートがありました。

例えば、中国から南太平洋のトンガ、バヌアツを経由して日本へ到着するルートだったり、中国からラオスやベトナムを経由した後、さらに中央アジアのキルギスを経由して日本へ届けるルートなどがあって、それだけ遠回りをして日本へ届けられる荷物ですから、時間はそれなりにかかりました。

アリエクスプレスで送料無料の安物を買うと、使用される配送業者によってはこういった遠回りルートになってしまい、全然届かないので買わなければ良かったと後悔したことは一度や二度ではありませんが、そんな届くまでに時間がかかる配送業者の中に、S.F. Express(順豊エクスプレス)がありました。

S.F. Express(順豊エクスプレス)は、中国国内から発送されるeBayのお店でよく使われ、それからすぐにアリエクスプレスでも頻繁に使用されるようになった配送業者です。

特徴としては、送料無料の安物を購入すると使われ、安価な運賃だからこそ、逆に時間だけは目一杯時間が掛かり、お店が発送してから1カ月くらいは平気で待たされることが頻繁に起こりました。

あくまでも私の勝手な想像ですが、当時のS.F. Expressを運賃の安さだけが取り柄の配送業者だと思っており、アリエクスプレスが自社で輸送ルートを構築した現在では、全く使われなくなった配送方法となりました。

S.F. Expressのエピソードといえば遅いくらいしかないので、私は今の今まで社名さえも忘れておりましたが、本日流れていたニュースを見た際にS.F. Expressと書かれた輸送機が出てきました。

そのニュースとは、上野動物園のパンダのリーリーとシンシンが高齢になり、高血圧の治療も必要なため、2頭を中国の専門施設へ返還する、というものなのですが、パンダを中国まで送り届ける航空輸送をS.F. Expressが請け負っているようなのです。

私からすると、使われたら罰ゲームのようにとにかく遅いとの印象しか残っていないあのS.F. Expressが、今では、荷物として考えると最上級に分類されるであろう、ジャイアントパンダの輸送を請け負っているのです。

これはもう、大躍進というか、大出世というか、ハエがぶんぶん飛んでいるような定食屋さんが、しばらく行かないうちにミシュランの三ツ星を獲得したかのような感覚でして、全く持って立ち位置が様変わりしていることに驚きました。

S.F. Expressがアリエクスプレスで使われていたのはコロナが始まる前の頃ですから、もう4年が経過しているのですが、その4年の間に、ビニール封筒に入った安物商品を輸送していた配送業者が、今ではパンダの輸送までも手掛けるようになっていた、というお話でした。