中古のiPhoneと格安SIMのおかげで詐欺被害に遭わなかった話

オレオレ詐欺という犯罪は確か2000年代前半くらいから確認されるようになり、当時は一過性の犯罪のように思えたのですが、それから20年くらいが経過してもこの犯罪はなくならず、むしろ増加する傾向にあるようにも思えます。

息子や娘に扮した犯人が電話で事故や事件に巻き込まれてお金が必要だと泣きつき、それを信じた離れた場所に住む親がお金を払ってしまう、あるいは、警察や金融機関に成りすました犯人が、お宅は事件に巻き込まれていると電話をしてきて、証拠として現金やキャッシュカードを持って行くといった内容がオレオレ詐欺の手口です。

犯人はその時代によって手を変え品を変え色々な手口を編み出しておりますが、全てにおいて共通するのは、接触してくる一番初めには必ず電話、特に自宅の固定電話が使われていることです。

このファーストコンタクトの電話の部分さえなんとかなれば、詐欺被害は未然に完璧に防げるように思え、それに打ってつけなのが格安SIMと使い古しのスマホです。

子供が親に連絡する際は親の携帯電話か自宅の固定電話にかけるわけですが、子供に成りすます犯人も同様に電話をかけてくるとなると、親は電話の度に本当の子供なのか否かを判断する必要があって、気を付けていても犯人の方が上手の場合には騙されてしまう恐れがあります。

まあ、携帯電話は電話番号が表示され、アドレス帳に入っていない番号か否かがすぐに分かるので電話を取らなければ大丈夫そうなのですが、犯人が何度も何度もかけ続け、その中で一回でも電話に出てしまったら、犯人の思うつぼになってしまうことがあるかもしれません。

とにかく、親世代の高齢者が分かりやすく、子供からの電話なのかそうではないのかが明確に判断できるようにするだけで、少なくとも子供に成りすましたオレオレ詐欺は発生しなくなります。

では、それをどうすればいいのかというと、月々数百円ほどの格安SIMを入れた古い型落ちのスマホを用意し、子供から親へ電話をする際にはこの電話のみに連絡すると決めてしまうことです。

私の場合、型落ちのiPhoneに格安SIMで契約した音声SIMを入れ、親にはこのiPhoneは外へ持ち歩くのではなく、家の中の身近な場所に置いておく固定回線にしてもらい、私が親に連絡する際にはこのiPhoneに電話なりメッセージを必ず送るようにしております。

電話をする際にはiPhoneに備わっている通話アプリのFaceTimeを使うので、いくら話そうが通話料は無料ですし、他の通話アプリよりも音声通話が鮮明なので違和感がありません。

なによりも新たに契約したSIMなので電話番号がどこにも漏れておらず、iPhoneに掛かってくるのは自分の子供だけで、もしも子供以外から電話が掛かってきたら、それは自らにとって不必要な人間との判別がはっきりするため、詐欺に引っ掛かる可能性が格段に減ると思われます。

仮に親自身が使用しているスマホにオレオレ詐欺的な電話が掛かってきたとしても、一度電話を切ってから専用の中古iPhoneにて子供へ尋ねることができますから、ニュースでよく見る『電話番号が変わったからこちらを登録してくれ』といった手口にも引っ掛かりにくくなります。

またもう一つ重要なのが、自宅の固定電話へ掛かってくる電話はたとえ警察やら税務署やら財務省だと言われても全て嘘だと言い含めておき、仮に本当の電話だったとしてもその時点では全て嘘なんだと思い込んでもらい、なにか問題がある際にはこの古びた中古iPhoneへ電話をかけてきてと言い含めておけば、少なくともキャッシュカードや現金を他人に受け渡すことはなくなります。

そしてつい先日、私の実家にもオレオレ詐欺的な自宅の固定電話が初めて掛かってきましたが、私自身が固定電話に電話を掛けることはもう5年くらいしていないため、私の親もすぐにこれは詐欺電話であると認識でき、即時、犯人からの電話を切り、私へ連絡してきたことで詐欺被害に遭わずに済みました。

また、私の周りの人間たちも、親に連絡する際には古いiPhoneに格安SIMを差し込んだものをホットライン的に使用しており、現在までは引っ掛かった親はおりません。

高齢者に対してオレオレ詐欺から守ることは、実際のところ至極簡単で、犯人とコンタクトさせないということだけだったりします。

しかし、今の世の中、家の固定回線に掛かってくる電話なんて、詐欺か不必要なセールス、アンケートくらいしかないように思うのですが、高齢者の多くは『電話が鳴ったらすぐに出なければならない』という昭和時代からの凝り固まった考えがあって、それが詐欺被害の増大に繋がっているように思えます。

私の実家なんてもう固定電話は捨ててしまえばいいのにと私は思いますが、親自身は無ければ困ると言いつつ、結局は詐欺の電話しか掛かってこないという悪循環になっているものの、だからこそ、子供とのホットライン的なスマホを家に置いておくことは重要に思えます。

faceTimeで音声通話するくらいならpovoの低速でも十分可能ですし、月々500円くらいまで支払っていいのなら格安SIMはいくらでもありますし、初代のiPhoneSEならば5千円くらいで中古端末が入手できるため、離れた場所に住む親と連絡を取る際の電話は格安SIMとスマホを用意して既存の通話アプリで行うと、ランニングコストが格段に安いうえに、少なくとも自宅の固定電話が関係するオレオレ詐欺には引っ掛からなくなる、というお話でした。