
AI活用術でよく言われるのが、まずはAIに対して「あなたは○○の専門家です」と役割を与えると良い、というものです。たしかに専門家として振る舞わせれば、答えも専門的になるような気がします。
でも、本当にそうなのでしょうか?そもそも、そう言われたAI自身は、この指示をどう評価しているのか?。そこで、複数のAIに同じ趣旨の質問をしてみて、さらに互いに逆の意見をぶつけて再度答えてもらい、誰もが何気なく行う役割指定が必要なのかを確かめてみました。

尋ねたAIは以下の4種類です。
ChatGPT:シェア率No.1・AI界の大巨人
Gemini:天下のGoogleが開発した本命AI
Copilot:Microsoft製、仕事向けに強い相棒AI
Qwen:アリババ系が育てる実力派AI・アリエクユーザーだからこそのエントリー
この4種のAIにはこういった趣旨の質問をしました。
- AIに「あなたは○○の専門家です」のように役割を与えると、より的確なアドバイスになるのか
- それとも、まず普通に質問すれば十分なのか
すると、AIは一様な回答ではなく、意外にも肯定派、否定派に分かれました。
| AI | 初回回答の傾向 | 主な主張 |
|---|---|---|
| Gemini | 肯定寄り | 役割指定で回答の方向性や専門性を調整しやすい |
| Qwen | 強い肯定寄り | 多くの場面で役割指定が質を高める |
| GPT | 中間的 | 必須ではないが、視点や評価基準の調整には役立つ |
| Copilot | 慎重寄り | 具体的な質問が重要で、役割指定は補助的 |
この回答は、各AIが自分の立場を強めに主張している可能性がありますので、次は以下の形で再質問してみました。
- 役割否定派には「役割は非常に有効だ」という他AIの意見をあることを伝える。
- 役割肯定派には「普通に質問すれば十分だ」という他AIの意見をあることを伝える。
AIの中にも自らの発言と異なるものがあることを伝えると、どうなるのでしょうか?

初めの回答で肯定派だったAIたちは、この質問後に表現を大きく修正しました。
Gemini は、役割指定を「文脈やトーンを合わせるためのショートカットである」と説明し直しました。そして、最初の「非常に有効」という表現から、限定された表現に変わりました。
Qwen もまた、「主役は具体的な指示で、役割指定はそれを補助する脇役」という方向に修正しました。最初は「ほとんどのケースで質が上がる」という主張をしていたのが、役割の位置づけを補助的に行うものだと説明し直しました。
Copilot は否定派でしたが、再質問後には役割指定について「視点の固定」「トーンの調整」「語り口の統一」といった限定的な効果を認めました。
GPT も同様で「役割指定は必須ではないが、視点や評価基準を指定すると改善する場合がある」と態度を改めました。
最初は割れていた意見が、反対意見をぶつけてみると、どちらも中和するように真ん中の意見に歩み寄ったのです。

再質問後の回答を並べると、共通点が見えてきます。
- 役割指定は決して魔法ではない
- 役割指定だけで知識や正確性が大きく上がるわけではない
- 本当に重要なのは、何をどう答えてほしいかという具体的な指示
- 役割指定は、視点やトーンを合わせる補助としては便利
「あなたは○○の専門家です」と初めに問いかけることが重要かどうかをAIにしつこく聞いてみると、そこまで重要ではない、ということをAIたちは言葉は違えど結局は認めたのです。

今回のAIたちの意見から、どのようにAIを使うのが良いのかを考えてみると、以下の方法が良さそうです。
- まず、知りたいことを具体的に書く
- 観点・条件・制約を足す
- 必要に応じて、役割や対象読者、トーンを足す
- 必要なら、反対意見や別視点も求める
そして、どうやら無意味そうなことが『あなたは一流の専門家です。詳しく教えてください』といった、過剰な問いかけです。
「あなたは○○の専門家です」だけでも、実質的には無意味なのに、一流と指定したとてその能力は変わりません。むしろ、一流を気取ることでAI特有のホラ話に発展する可能性の方が高くなるような気がします。

AIは便利ですが、まだ使い方がよく分からない、未知数な部分が多々あります。しかし、その利用方法は、実はAIに直接聞いてしまった方が分かることが結構あるのです。
「あなたは法律の専門家です」とわざわざ言わなくたって、法律のことは答えてくれるわけで、その内容は言おうが言わないがほとんど変わらないのです。AIによると。
💎【 送料無料】単価が半額以下?よりどり限定価格をチェック
今回の話に近いものが下にあります👇








よくある質問(Q&A)
Q. 役割指定は、本当に効果があるのですか?
A. 効果がないわけではありません。ただし、AIを急に賢くする魔法ではなく、視点やトーンを合わせる補助としての効果が中心です。知識や正確性が大きく上がるわけではない、という点は押さえておいた方がいいです。
Q. 役割指定と具体的な指示、どちらが重要ですか?
A. どちらか一方というより、順番の問題です。まず具体的な指示を書き、必要に応じて役割を足す——という順番の方が、意図した回答を得やすくなります。
Q. 「あなたは一流の専門家です」と書くのは、意味がないのですか?
A. 意味がないわけではありませんが、「一流」という表現は曖昧で、何をどう答えてほしいかが伝わりにくいです。役割名よりも、対象読者・観点・制約を具体的に書く方が効果的です。
Q. 今回の検証は、厳密な実験なのですか?
A. 厳密な性能評価実験ではありません。AIの回答傾向と、反対意見を受けたときの再説明の変化を観察したものです。AIの自己申告は、そのまま内部動作を保証するものではない点に注意してください。
Q. AIの答えは、そのまま信じていいのですか?
A. そのまま信じるのではなく、一つの観察材料として扱うのが安全です。AIは自分の処理過程を直接観察しているわけではなく、学習した一般論をもとに答えている可能性があります。
Q. 結局、役割指定は使うべきですか?
A. 使って構いません。ただし主役は役割ではなく、具体的な指示です。まず何をどう答えてほしいかを書き、必要に応じて役割を足すのが現実的です。
