LeEco、Smartisan、ZUK…あの頃に全盛だった中華スマホメーカーの現在地

今からちょうど10年前の2016年頃、AliExpressやGearBestのFlash Saleには、聞いたこともないメーカーのスマートフォンがずらりと並んでいました(※こちらの記事もご参照ください・GearBest興亡史:「Flash Sale」の幻想と、ROM焼き終焉が招いた没落)。

Xiaomi Mi5に加え、見た目はAppleやSamsungの最新モデルを彷彿とさせるのに、価格はどれも2~3万円以下。中には1万円以下でも普通に売られていました。

当時、中国の深センではスマートフォンメーカーが次々と誕生し、新機種が続々と発売される黄金期でした。それから10年が経過し、あの頃に誕生したメーカーはどうなっているのかを調べてみました。あくまでも私の記憶に残っている、2016年当時にそこそこ以上に売れていたメーカーの現在地を以下の表にまとめました。

メーカー 2016-2017年頃の位置付け 現在の状況 分類
Alcatel フランスの老舗通信機器メーカー。TCLとの合弁で「ALCATEL ONETOUCH」ブランド ブランド自体は現存。TCLがライセンスを継続。近年はインド市場など地域限定色が強い 再編・変貌
Blackview 耐久スマホ(タフネス)で知られる。防水・防塵・耐衝撃がウリ 現存・成長中。日本でもAmazonで購入可能。BVシリーズを軸にタフネス分野で存在感を維持 現存・成長
Cubot 格安スマホメーカー。ミドルレンジ以下のモデルが中心 現存。現在もAmazonなどで販売継続中 再編・変貌
Doogee タフネススマホと格安モデルで知られる 現存。現在も積極的に新モデルを投入。タフネススマホの分野で一定の地位を確立 現存・成長
Goophone iPhone丸パクリの元祖。iPhone発売前にクローンを出すことで有名だった 存続不明/ほぼ消滅。2023年時点で「Goophone i14 Pro Max」の入手報告あり。実態はAndroid 7・32Bit・CPU MT6580(偽装)という化石スペック 消滅・休眠
HomTom ローエンド〜ミドルレンジの格安スマホ。IP68防水モデル(HT20)も展開 ブランド痕跡は残るが、新製品展開は大幅に鈍化。休眠に近い低活動状態 再編・変貌
Leagoo シンガポールなど東南アジア中心に展開。2015年時点で世界約30ヶ国で販売 消滅/休眠状態。近年はブランドとしての露出や新製品展開が大きく低下し、スマホ事業は休眠に近い。創業者のAndy Nagraniは現在もLeagoo関連会社のCEOに名を連ねるが、スマホ事業としての活動は確認しづらい 消滅・休眠
LeEco 中国の「Netflix+Apple」を目指した異端児。動画配信・スマホ・TV・EVまで展開。17ヶ月で7000万台出荷をうたう勢い 消滅。資金難で事業崩壊。賈躍亭(創業者)は米国で電気自動車事業(Faraday Future)に専念 崩壊
Meizu カスタムROM(Flyme OS)に癖があった。日本公式サイトも存在 現存。Geely系の星紀魅族として再編され、スマホ単体メーカーからAIOS・車載・XRを含むエコシステム企業へ変貌。日本向けページも現行で存在する 再編・変貌
Oukitel 「K10000 Pro」(10,010mAhバッテリー)が話題に。「でかいバッテリー」で勝負 現存・ニッチで堅調。近年は三防スマホ、電源製品、アウトドア寄り機器へ重心を移している。2026年MWCでは20,000mAhバッテリーと電気式点火機構を備えたWP63を展示 現存・成長
PPTV 中国の動画配信大手(PPLive)。「動画サービス×スマホ」戦略 スマホ事業は消滅。本業の動画配信サービス(PP視頻)は現存 消滅・休眠
Smartisan(锤子) 羅永浩率いる「工匠精神」のブランド。Smartisan T1は2015年にiFデザイン金賞を受賞。OSにも強いこだわり 実質的に消滅。2019年にByteDance(TikTok親会社)に事業売却。2021年にByteDanceが撤退を発表し事実上終焉。羅永浩は現在、AIスタートアップ(Thin Red Line)を立ち上げ、AIメールツールなどを開発中 創業者再起
Ulefone 格安スマホ〜ミドルレンジのメーカー。日本でもAmazonで販売 現存・成長中。近年はArmorシリーズを中心に、特殊機能付きタフネス機へ重心を移している。欧米市場での存在感も強い 現存・成長
UMi 格安スマホメーカー。日本でも一部モデルが販売されていた UMIブランドは実質的にUMIDIGIへ移行。旧「UMI」名義は消滅。検索結果でヒットする「UMI」は別の企業(素材化学系スタートアップ) 消滅・移行
ZUK 聯想(Lenovo)の元社員が立ち上げたブランド。「ZUI」というカスタムROMがウリ。従業員400人中350人がソフトウェア開発者という特異な体制 消滅。聯想がZUKブランドを統合/廃止。ZUKの技術や人材は聯想の他ブランド(Motoなど)に継承されたとみられる 消滅

※スマホは表を横にスクロールしてご覧いただけます。

10年前の中華スマホ事情に精通された方ならば、もっと有力なメーカーがあったとのツッコミがあると思いますが、あくまでも私の記憶に基づいた振り分けなのでご容赦ください。

10年後の2026年で、生存、再編、消滅に分けると以下となります。

生存組: Blackview, Doogee, Oukitel, Ulefone

再編組: Alcatel, Cubot, HomTom, Meizu, UMi

消滅組: Goophone, Leagoo, LeEco, PPTV, Smartisan, ZUK

この中で、消滅してしまった6社に焦点を当ててみます。

消滅した6社――それぞれの「終わり方」

「消滅」と言えば一言なのですが、調べてみると、その終焉は一社ごとにかなり違っていました。

私も愛用していたLeEcoは、最も派手に拡大しすぎてやらかした典型です。動画配信、スマホ、TV、EVなど一気に事業を広げ、軌道に乗りかけたのもつかの間、資金が追いつかなくなりました。スマホ事業だけなら17カ月で7000万台も出荷した勢いがありながら、あっけなく崩壊した模様。

Smartisanは、こだわりの強さが、そのまま事業の強さにはならなかった例に思えます。Smartisan T1はiFデザイン金賞(※ドイツのデザイン賞)を受賞し、順風満帆な船出かと思われましたが、製造面では課題も抱え、発売直後には開箱不合格率3%という数字が報じられました。そして、2019年にByteDanceへ事業を売却し、ブランドは「堅果」としてしばらく続いたものの、2021年には事実上の終焉を迎えました。

ZUKの終わり方は、失敗というより親会社への吸収です。Lenovoの元社員が立ち上げ、従業員400人中350人がソフトウェア開発者という特異な体制でした。ただ、Lenovoがモトローラを買収し、こちらへ精力を集中する方針を取る中でZUKブランドは消えました。ただし、技術や人材はLenovoやMoto側へ継承されたとみられます。

Goophoneは、ビジネスモデルそのものに限界のあったメーカーです。事業内容がiPhoneの丸パクリして売るとの発想で、一時期こそ注目を集めたものの、法的リスクが高く、長く続けられる事業ではありませんでした。ただし、近年もGoophone名義のクローン端末は散発的に確認されますが、メーカーとしての実体はほぼ見えません。

Leagooは、静かに息を引き取ったタイプで、大きな失敗や事件があったわけではありません。ただ、差別化の弱い格安スマホ市場で埋もれ、ブランドとしての露出も新製品投入も次第に細っていきました。創業者は今も関連会社のCEOだが、スマホ事業は休眠状態に近いようです。

PPTVは、史上初の6インチ画面を搭載したスマホをいち早く発売したメーカーでしたが、その後は尻つぼみ。元々は動画配信が本業で、スマホ市場に参入したものの、「動画サービス×スマホ」という戦略から撤退。ただし、本業の動画配信サービスは今も残っています。

逆に現在も健在のメーカーはというと、共通するのはタフネススマホなど、ニッチ路線を歩んでいるメーカーが多い印象で、これらは日本のAmazonでも販売されていたりします。

十年ひと昔なんてことを言いますが、中華スマホ業界は「百花繚乱」から「淘汰と特化」の時代へ移り変わりました。

そして、かつてiPhoneとSamsungの丸パクリを売っていたはずの国は、今や世界のスマホ市場をリードするようにもなりました。

さらに日本メーカー製のスマホが風前の灯火で、らくらくスマホしかないなんて、誰が予想できたでしょうか?10年という年月は短いようで長く、特にスマホの世界には様々な変化があったことを改めて認識しました。

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