
現在のアリエクスプレスでは、ユーザーが一方的に騙されて大損するケースは、以前に比べればかなり減りました。
ユーザー側に寄り添った返金システムが整い、昔のように「届かない、でも泣き寝入り」という状況は起こりにくくなったからです。
とはいえ、世界でもとくに手厚い日本のECサイトと比べれば、まだまだ荒れた商売であることに変わりはありません。最初から騙すつもりで店を開いているような連中も、今なお平然と紛れ込んでいて、店選びを間違えれば、普通に嫌な思いをします。

アリエクスプレスで騙される、あるいは大損する時によくあるパターンの前に、彼らがどうやって商品代金を手にしているのかを知っておく必要があります。
店はモノを売って代金を得るわけですが、アリエクスプレスでは、ユーザーが支払ったお金をいったんプラットフォーム側が預かります。商品が無事に届き、ユーザーが中身に納得して「受領確認」のボタンを押して、はじめて店に代金が振り込まれる仕組みです。
つまり、普通に取引が進む限り、店が代金だけをせしめることは仕組み上かなり難しいのです。にもかかわらず、なぜ今でも詐欺まがいの店が成立しているのか。

答えは単純で、彼らが本当に売っているのは商品ではないのです。彼らが換金しているのは、こちらの油断であり、時間切れであり、そして「受領確認」のクリックなのです。
アリエクスプレスが預かっているお金を自分たちの懐へ入れるために、あの手この手でユーザーに受領確認を押させる。あるいは、返金申請の期限、いわゆる紛争期間を切れさせる。彼らはそういう、画面の向こう側でのいやらしい心理戦で食っているのです。
詐欺を行うお店の手口はだいたい次の3つに集約されます。

- 届いていないのに、配達完了
注文後、発送ステータスは動いているのに、一向に荷物が届かない。おかしいなと思って追跡画面を開くと、届いていないのに、なぜかシステム上ではすでに「配達完了」になっているのです。
しかも、よく見ると処理された場所が、自分の住所とはまったく関係のない遠方の県の郵便局になっています。これは、店側が「同時期に日本へ送られた別の誰かのまともな荷物の追跡番号」を、こちらの注文に適当に紐づけているケースで、「偽番号」という手口です。
アリエクスプレスのシステムは、画面上で「配達完了」になると自動的にカウントダウンが始まります。放置していると、勝手に受領されたことになり、店へ商品代金が渡ります。
こちらが異変に気づき、配達先の違う追跡画面のスクリーンショットを押さえて、「届いていない」と返金申請を出さない限り、代金を取られてしまうのです。
ただし、この手口を見破ることは簡単で、荷物の追跡情報さえ見ていれば異変に気付きやすく、追跡情報を証拠にすれば返金はかなりスムーズです
- 翻訳アプリ越しの「親愛なる友人へ」
「親愛なる友人へ。あなたの荷物は税関で止まってしまいました。すぐに再送したいのですが、システムの都合上、先に受領確認を押してこの取引を完了してください。信じてください。必ず送りますし、サービス品もたくさん差し上げますから」
こういった感じの、なにか嫌な距離感で近づいてくるようなメッセージが、商品を注文した後に販売店から届くことがあります。
これを信じて受領ボタンを押してしまうと、返金がかなり厄介になります。そして、販売店とは音信不通となり、再送することも、サービス品が届くこともなく、商品代金を取られただけになってしまうことがあります。
それともう一つ、「紛争を取り下げてくれたら、PayPalで直接返金する」というメッセージが届くこともありますが、これも無視することに限ります。手厚いユーザーの保護はアリエクスプレスの中の話であり、その枠から外すことを店は狙っているのです。紛争を取り下げても、直接返金されることは絶対にありません。
- 返品送料という名の、合法的な泣き寝入り要求
一番タチが悪いのは、制度を利用して損を押しつけてくる手口で、典型例が、常識外れの激安スペック偽装品です。
たとえば「送料込み2,000円の16TB外付けSSD」みたいなものに手を出すと、ベコベコに凹んだ、見慣れた灰色の薄汚れたビニール袋で、一応商品は届きます。ただし、やたら軽いプラスチックケースをパソコンに繋いでみると、中身は数GBの容量をソフトウェアで誤魔化しているだけの、ゴミ同然の品なのです。
当然、怒って返金申請をしますが、現在の返金システムの場合、月に5回以上の返金を請求すると不利な裁定が下ることがあります。ユーザーには何の落ち度もないのに「では商品を中国の販売店へ返品してください。追跡番号が確認でき次第、全額返金します。ただし返品送料は購入者負担です」という裁定が平気で出るのです。
ここで国際郵便の送料を調べると、ゴミの返送料は購入代金2,000円をあっさり超えてしまいます。2,000円を返金してもらうために、2,000円以上の送料を負担し、梱包する費用もユーザー持ちですから、損得で考えれば誰もが泣き寝入りを選ぶでしょう。彼らは、最初からそこを狙っているのです。
売っているのはインチキSSDではなく、実はこちらの諦めなのです。

アリエクスプレスの返金システムは、たしかに昔よりずっと強力です。ただし、それはあくまで、こちらがルールを理解し、期限を見て、必要な証拠を押さえ、販売店の手口を分かっていることが前提です。
相手の時間稼ぎや、翻訳アプリ越しの甘い言葉に少しでも油断して手続きを怠れば、普通に毟られます。アリエクスプレスで危ない店が本当に売っているのは、モノではありません。こちらの油断、善意、面倒くささ、そして、それを解決するまでの無駄な時間なのです。※販売店になにか騙されていると思ったら、こちらの日本語対応のアリエクスプレス・ヘルプセンターが役に立つかもしれません。
今回の話に近いものが下にあります




