
AliExpressでは、日本人の常識を覆すお値段で販売されている商品を見かけます。
たとえば、上腕式血圧計がたったの790円、しかも送料無料で売られているのです。

商品画像を見る限り、腕帯が付いていて、デジタル表示があって、ボタンがいくつか並んでいる、いたって普通の血圧計です。しかもChoiceの表記もあるので、なんとなく安心感もあります。
じゃあ、この790円血圧計は買いなのかというと、それはまた別問題なのですが、私はこの血圧計を買ったわけではないので、レビューすることができません。ですので、今回はこの血圧計の星1と星2のレビューのみを抽出して、どういった素性なのかを探ってみたいと思います。

まず、この血圧計には3800件あまりのフィードバックが集まっていて、その内、星1と星2は319件、全体の8%ですから、購入者の大半は満足していることになります。
ネガティブなコメントの数字だけを見ると、この血圧計は買いなのではないか?と思えますが、そのコメントの内容を精査すると、どんな素性なのかがはっきり見えてきます。

低評価レビューを読み進めていきますと、不満の声はばらばらに見えて、実はかなり似た場所に集中しています。分類すると、大きく5つのパターンに分かれます。
測定値が信用できない
- 測るたびに数値が違う
- 異常に高く出る、または低く出る
- 他の血圧計や病院の機器と乖離がある
測定以前にまともに動かない
- 途中で止まる
- エラーが頻発する
- 電源が落ちる
- USBでしか動かない、電池では不安定
加圧が痛い、カフが雑
- 締め付けが強すぎる
- 赤くなる、しびれる
- ナイロンが硬くて痛い
- カフが小さい、外れやすい
表示と操作系が弱い
- 液晶が暗い、数字が欠ける
- 表示が見えない
- ボタンの意味が分からない
- 説明書が日本語でない、小さすぎる
梱包・耐久性が低い
- 箱潰れ、破損到着
- ディスプレイが外れている
- 内部でカラカラ音がする
- 数日〜数週間で壊れる

分類だけでは伝わらないので、実際のレビューを引用します。
測定値が信用できない
「測るたびに数値が違いすぎて安心して使えない。普段血圧が上で140くらいある家族を測ると90くらいになったりする」(星1)
「校正済みの機器と比較しましたが、一致しません。測定値が高すぎます」(星1)
測定以前にまともに動かない
「スタートボタンを押さなくても、勝手にデバイスが起動してしまう。また、ディスプレイの輝度が十分ではありません」(星2)
「USB-Cを繋げば電池無しでも動くのでとても良いです。しかし、電池だと不安定で、充電器に接続しないと動作しません」(星2)
加圧が痛い、カフが雑
「加圧が強過ぎるし生地が硬いナイロンで薄めだからものすごく痛い」(星2)
「カフから目を瞬くような刺激臭が出てくるのと、心拍数のデジタル表示が一部点灯しない」(星2)
表示と操作系が弱い
「電源いれても画面見づらいです。数字が欠ける」(星2)
「説明書が日本語ではないから分かりにくい。ボタンの意味が分からない」(星2)
梱包・耐久性が低い
「箱が潰れた状態で届きました。機械自体のプラスチック製部分が脆弱で、LEDの動作も正確ではありません」(星2)
「不動品でした。傾けると内部でカラカラと音がします」(星1)
さらに、こんなレビューもあります。
「私は32年の経験を持つ看護師ですが、全く使い物になりません」
「これは子供向けの玩具ですが、冗談ですよ!!!!!!」
「この機械は精度が高くありません。健康目的でのご使用は推奨いたしません。お子様のおもちゃとしてお考えであれば、問題ないかもしれません」
星1つ、星2つの評価は、安いから仕方ないという諦めの声ではなく、測定機器としての根幹に触れる不満が、繰り返し出ていることが分かりました。

LED電球やUSBハブなら、「安物だから使いにくい、すぐ壊れる」で済みます。実際、私もアリエクの安物LEDやUSBハブについて、そういう記事を書いてきました。
アリエクのE27 LED電球は危険?E26ソケットで使うと発熱・接点不良・発火リスクがある理由
アリエクの安物USBハブはなぜ使えるのに不安定なのか?──内部構造の簡略化と見えないデータ破壊のリスク
しかし、血圧計は測定機器なのです。 数値が信用できないと、単なる不便ではなく、健康判断そのものが揺らぎます。
実は、高血圧なのに正常値が計測されて、安心してしまう。逆に健康体なのに、とんでもない高血圧の数値が出てしまうなど、その計測された数値によって、とんでもないリスクをはらんでしまうのです。
血圧計は、数値がいつもバラバラだけど、使えるし、安いからまあ良いかでは済まない道具なのです。

家庭用の自動血圧計は、多くがオシロメトリック法という方式を使っています。
カフ(腕帯)を膨らませて血管を圧迫し、徐々に空気を抜きながら「血管の振動(脈動)」をセンサーで捉えて血圧を計算する仕組みです。つまり、血圧を直接読んでいるわけではなく、圧力変化の微妙な揺れを解析しているのです。
ここで重要なのは、圧力センサーの精度と空気を抜くポンプの制御が、測定の正確さを左右するという点ですが、送料まで無料な790円の商品に、この見えない部分のコストまで入っているのかははなはだ疑問です。
血圧計は、見た目以上に繊細な測定機器なのです。

星1と星2のコメントをもとにして、790円血圧計はどのコストが削られ、製造されているのかを考えると、どう辻褄が合うかを予測してみます。
| レビューの不満 | 削られている可能性のある部分 |
|---|---|
| 加圧が強すぎる、痛い、外れやすい | カフの素材とサイズ設計 |
| 空気が抜けない、途中で止まる | ポンプと減圧制御 |
| 数値が毎回違う、他機種と合わない | 圧力センサーと出荷前の校正 |
| USBでしか動かない、熱を持つ、焦げ臭い | 基板と電源設計 |
| 液晶が暗い、数字が欠ける | 表示パネルと表示制御 |
| 説明書が日本語でない、ボタンの意味が不明 | 多言語対応と機能実装 |
| 箱潰れ、破損到着、部品が緩い | 梱包材と出荷前の検品 |

この790円血圧計のフィードバックを見て分かったことを下の表にまとめました。
| 項目 | 790円の血圧計 | 信頼できる血圧計 |
|---|---|---|
| 数字が出る | ○ | ○ |
| 形がそれらしい | ○ | ○ |
| 信頼できる測定値 | ? | ○ |
これら意見を参考に言えることは、これは安い血圧計ではなく、腕に巻き付けてスイッチを入れると、何か数字が出てくる、日本人が見たことのないガジェットなのではないのか?ということです。
見た目は間違いなく血圧計。操作方法も何となく同じ。でも、計測される数値はデタラメ。これは新種のガジェットと認識した方が良さそうです。
今回の話に近いものが下にあります👇






よくある質問
Q. 790円の血圧計は使えますか?
A. 低評価レビューを見る限り、動作する個体はあっても、測定値や耐久性の信頼性に大きな不安があります。健康管理用としてはおすすめしにくいです。
Q. なぜこんなに安いのですか?
A. レビュー内容から逆算すると、カフ、ポンプ、センサー、基板、表示、説明書、梱包など、血圧計の見えない部分で大きなコストカットが行われている可能性があります。
Q. 安い血圧計でも正確ですか?
A. この商品に関しては、低評価レビューに「測るたびに違う」「他機種と乖離する」という声が多く、正確さを期待しにくいです。
Q. 血圧計は何を基準に選べばいいですか?
A. 価格の安さだけでなく、信頼できるメーカー、腕帯のサイズ、表示の見やすさ、継続して使える品質を重視したほうが安全です。国内メーカーではオムロン、シチズン、パナソニック、テルモなどが一般的です。
