アリエクのマージボスとゴーゴーマッチはユーザーの暇つぶし用?いいえ、Temuへの強力な対抗策です。

AliExpressのアプリを開くと、必ず目にするのが「Merge Boss(マージボス)」や「GoGo Match(ゴーゴーマッチ)」というミニゲームの存在です。これらは暇つぶしのため?セール時にクーポンをもらうためのおまけゲーム?と多くのユーザーは考えるでしょう。

ただ、ECサイトのアプリに、なぜこれほど本格的なミニゲームが実装されているのでしょうか?

結論から言えば、これは単なるサービスではなく、実は、Temuという同業者に対してAliExpressが張り巡らした防衛ラインなのです。

以前、AliExpressの戦い:Temuへの対抗、Sheinへの静観【中国EC三国志】の中で、現在のAliExpressへ変貌したのは、Temuという怪物の登場があったからとの内容を書きました。

販売する商品の毛色が似ているTemuには、AliExpressは現在も徹底抗戦をしており、その一環として、マージボスやゴーゴーマッチといったミニゲームすらも対抗策なのです。

実は、AliExpressのミニゲームは10年くらい前から存在していました。うろ覚えで申し訳ないのですが、確か「Fantastic Farm」という名前の畑に水をやるだけという、なにが面白いのかさっぱり分からないシンプルなゲームです。

ただ水をやり、時々害虫を駆除すると、何の得もないクーポンが貰えるというものでした。これはゲームというよりも販促装置に近い立ち位置で、ゲームで楽しませる要素がまるでなく、水をやるたびに不思議とイライラしてくるストレス発生装置でもありました。

状況が一変したのはTemuが大攻勢をかけてきた2022年頃です。Temuのアプリ内で「Fishland(魚育て)」など、誰でも楽しめるミニゲームが発表され、そのゲーム内において、友達を招待すれば商品が無料で貰えるといった、紹介や口コミを狙った戦略でTemuは爆発的な成長を遂げました。

Temuのゲームは単なる暇つぶしではなく、「あと3人の友達を招待したら商品が無料で貰える!この商品も10円になっちゃう!」といった、ユーザーの承認欲求と交友関係を巻き込んでいく設計でした。そして、このゲームの導入は、買い物をする以外でもユーザーにアプリを立ち上げさせることに成功し、結果的に販促装置としての役割を果たしたのです。

これに危機感を抱いたAliExpressは、既存の「Fantastic Farm」のような無意味なミニゲームはすべて捨て、ユーザーが買い物以外でもアプリを起動するような楽しめるゲームへ大規模にリニューアルしました。現在のマージボスやゴーゴーマッチは、Temuの成功例をなぞった対抗策なのです。

TemuにしてもAliExpressにしても、なぜユーザーにゲームをプレイさせたいのでしょうか?

1つ目は、先程申し上げた買い物以外でもアプリを立ち上げさせられたら、購入する機会になる可能性があるからです。この戦略は、コインを付与するログインボーナスでも見られ、ユーザーに毎日アプリを開かせるためなのです。

2つ目は、ゲームをプレイしている間、画面の端に商品が表示されたり、ゲーム内のアイテムが実際の商品とリンクさせられるからです。滞在時間が長ければ長いほど、アプリ内のAIはユーザーの嗜好を学習し、売り込みの精度が上がるのです。

3つ目は、ミニゲームで得られるコインなどの報酬は商品購入時に使用できます。数パーセントの割引とはいえ、コインを所持していれば総支払額から値引きされるので、ユーザーは必然的にコインを集めるようになります。

コインを集める=アプリを開く、に繋がり、買う機会も増えることを狙っています。また、このコインが増えていくと、ユーザーは使わないと損だと思うようになり、結果的にアリエクでの買い物の機会が増えることも狙っています。

アリエクのミニゲームは、ユーザーを楽しませるために作られたと思いきや、実は緻密な戦略がありました。

アリエクユーザーを引き留めるため、買わせるため、データを収集するために作られ、運営しているのです。確かにゴーゴマッチは暇つぶしには最適で、面白さもあります。

しかし、「あと2回コンティニューすればクリアだ」と夢中になっているちょうどその時、その裏側ではユーザーの「時間」「購買データ」「嗜好性」がどんどん吸い取られているのです、合法的に。ECサイトのミニゲームは、運営元がローコストで収集できる、行動経済学の応用装置なのかもしれません。

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🟥 FAQ(よくある質問)

Q. AliExpressのミニゲームは、なぜ突然本格的になったのですか?

A. Temuが2022年頃に「Fishland」などのミニゲームを導入し、紹介誘導で爆発的に成長したためです。AliExpressは危機感を抱き、旧来の「Fantastic Farm」を捨て、マージボスやゴーゴーマッチへ大規模リニューアルしました。

Q. マージボスやゴーゴーマッチは、暇つぶしのために作られたのですか?

A. いいえ。これらはTemuへの対抗策として設計された“行動経済学装置”です。アプリ起動回数を増やし、滞在時間を伸ばし、ユーザーの嗜好データを収集するための戦略的機能です。

Q. Temuのミニゲームはなぜユーザーを急増させたのですか?

A. 「友達を招待すれば商品が無料になる」という紹介誘導の仕組みが強力だったためです。承認欲求と交友関係を巻き込み、ゲームが口コミ拡散装置として機能しました。

Q. AliExpressのミニゲームは、どのように購買行動を誘導しているのですか?

A. ゲームで得たコインが商品購入時に使えるため、ユーザーはコインを集めるためにアプリを開きます。コインが貯まると「使わないと損」という心理が働き、結果的に購買機会が増えます。

Q. ミニゲームを遊ぶと、どんなデータが収集されているのですか?

A. アプリ起動回数、滞在時間、タップ行動、表示された商品の反応などが学習されます。これにより、アプリ内AIがユーザーの嗜好を把握し、商品レコメンドの精度が上がります。