アリエクスプレスで日本のアイドルの無許可ステッカーが売られるようになった話

私は東京の足立区という地域で生まれ、ごくごく一般的なサラリーマンの家庭で育ちましたが、周りの同級生たちは自営業の家庭が多く、それでいて貧民街のような地域なのに良い暮らしをしている友人が多かった気がします。

ただし今考えてみると、友人たちの親の稼業はいつ塀の内側へ転落してしまうかもしれぬ危ういものだったようにも思え、やはり職種が地域的だったのかもしれません。

私の友人の一人の家は代々露天商を営み、彼の父親にはそれは見事な風神雷神が背中に描かれおり、指折り数えることが4以上は無理だったりもしました。

そんな親を持つ彼の家に遊びに行くと、とんでもない数の芸能人のグラビア、アイドル系の雑誌がうずたかく積まれており、私は友人になぜ雑誌がこれほど家にあるのかを尋ねました。

すると、彼の父親は今までの露天でのたこ焼き製造業から缶バッチを作る仕事に鞍替えしたそうで、お客のニーズに応じてアイドルや俳優、女優の写真を切り抜き、それを缶バッジにして販売しているとのこと。

そして、この商売がえらく儲かっているそうで、おかげで毎日のように新しいファミコンのソフトを父親が買ってきてくれる、と友人は大変喜んでおりました。

当時の足立区の子供はほぼほぼバカしかいませんから、百本近いファミコンソフトを所有する友人がとにかくうらやましく、自分の父親も彫り物を入れて缶バッチを作ればいいのに、と嫉妬したものです。

しかし、それから数年後、早朝の友人宅の前にパトカーが何台も止まる事態となり、その出来事を境に友人とも音信不通となってしまった時、こういった商売の危うさを実感する出来事にもなりました。

前振りが長くなりましたが、私のかつての友人宅の商売は、まだ当時は目新しかった缶バッジを、客の目の前でお好みの写真で作ることで結構なお金を生み出したのですが、そのお金はアイドルたちの肖像権を侵害して得たものであり、やはりこの手の違法行為は儲かるのです。

時代は流れ、現在の日本国内であからさまに肖像権を侵害する商売はなかなか見かけませんが、アリエクスプレスでは結構見かけることが多く、特に人物に関してのステッカーは無法地帯となっております。

ただし、そのステッカーの人物は大半がお隣の半島の人々が主流となっており、日本人がステッカーになっているのは見たことがありませんでした。

しかし、最近になって、この手の話に疎い私でも知っている日本人男性グループの一人のステッカーが売られるようになりました。

しかも、この方のステッカーの販売価格は、アリエクスプレスで販売されている肖像権侵害ステッカーの中ではかなり強気でして、他の5倍から7倍のお値段で売られております。

アリエクスプレスでも日本人ユーザーが増えてきて、日本人をターゲットに高値で販売していることが考えられる一方で、この人物がもう世界的に著名になっていて、強気な価格でも売れると見込んでいるのかもしれません。

今までは日本の芸能関係の商品をアリエクスプレスで見かけることはほぼほぼありませんでしたが、それがここ最近になって変わって売られるようになってきているものの、どっちにしても違法性の高い無許可な商品に変わりなく、もし購入したとしても税関にて一発でアウトになる商品ですので、見るだけにしておくのがベスト、というお話でした。