日本では電動アシスト付自転車が登場して以来、原付(スクーター)の需要がかなり低下し、80年代と比較すると現在は二十分の一くらいしか売れていないそうですが、中国はというと、免許が不要なことも相まって電動スクーターがとんでもなく普及しており、保有台数は3億台以上とのこと。
一国の中でスクーターが3億台以上も日常的に使用されていれば、スクーターに付随する商品の需要も当然高くなり、様々な製品が次々と生み出される土壌がそこには存在します。
そして、そういった色々な商品がアリエクスプレスでも販売されているのですが、色々とあるからこそ、これは無いと思えるものが極々当たり前に売られていたりします。
スクーターを使用する際の辛い場面というと、雨の日は濡れてしまうことに加えて、真冬の寒さの中で走行することが思い浮かび、特に冷え込みのきつい日は心臓が止まる感覚があったように記憶しております。
だからこそ、寒い日は風を通さないしっかりとした上着に加え、首元を冷やさないマフラーを着用し、手袋もちゃんとしたものを装着するのが一般的ですが、アリエクスプレスにはそんなに着込むこと自体が面倒だと言わんばかりの商品が売られております。
その商品というのが、上の画像のスクーターに乗車する人間を丸ごとすっぽりと覆い隠してしまう防寒着です。
その中身はというと、まるで掘りごたつへ入ったままのように乗車できるシロモノで、これさえあれば寒さを感じなくなる、と商品ページには記載されております。
百歩譲って、これを着用して寒さは感じなくなったとしても、このビジュアルで冬の街を走行するにはなかなかの度胸が必要ですし、少しだけ強めの風が吹いてきたらクラッシュは免れません。
また、かなりごわごわしているため、出来の悪い着ぐるみを着てよろよろと走行するのと全く変りがなく、安全性がないがしろにされているのは間違いなさそうです。
アリエクスプレスには目的を達成するためならば、それまでの工程なんてどうでもよい、との感覚で作られた製品が数多く存在しておりますが、この防寒着も、寒さに打ち勝つためには安全運転なんてクソくらえ、との論理で製作されているように思えます。
3億台以上もスクーターを保有しているアリエクスプレスのお国では、奇想天外な商品も当然のように売られていた、というお話でした。