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世界各国の物価を比較するために『ビックマック指数』というものがあって、これは世界中でマクドナルドのビックマックがいくらで販売されているのかで物価を比較するものですが、2024年の数値でいくと日本よりも中国の方が指数が高くなっております。
この指数だけで一概には言えないのですが、ビックマックに関しては日本の方が安く買えることになり、中国国内の商品が日本よりもなんでもかんでも安いのかというと、実際にはそうでもなかったりします。
しかし、アリエクスプレスには日本国内で購入するよりもお安い商品が数多く並んでおり、その理由は製造コストが日本よりも安いことにありますが、その安さは、ある意味、常識の範囲内であることが大前提となり、信じられないほど安い価格で販売されることはどう考えてもあり得ません。
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そんなことを踏まえまして、最近のアリエクスプレスでやたらと見掛けるのが異常な安さで販売されているポータブル電源です。
ポータブル電源とは、スマホに使うモバイルバッテリーのレジャー版でして、内蔵バッテリーに予め充電をしておくとコンセントから電気機器に給電ができるので、停電時や屋外レジャー時に電化製品が普通に使えるようになる大容量バッテリーのことです。
ポータブルなタイプでも、暖房機器など電力を多く使用する家電も問題なく稼働させることができる反面、それに耐えうる充電を行うためにはバッテリー容量をかなり増やす必要があります。
スマホのモバイルバッテリーだって、まともなモノは安くても3千円くらいはするのですから、ポータブル電源ともなれば、安くても3万円以上するのが常識なのですが、アリエクスプレスにはモバイルバッテリーだって買えない異常な価格で売られているものがなぜか最近やたらと目につきます。
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上の画像は、大人が片手で持ち運ぶことができる、153600mAhのポータブル電源ですが、そのお値段はなんと438円です。
バッテリーという製品である以上、製造にはそれなりのコストが掛かるわけで、モバイルバッテリーだって438円では絶対に買えないことを誰もが知っており、ポータブル電源ならばなおさらであることを誰もが理解しているはずなのですが、もう既に800点以上の注文が入っております。
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では、この438円のポータブル電源を買うと何が届くのかというと、何の脈絡も無いボルトやネジだけが届くことになります。
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なぜ、こんな商売を行うのかと言えば、お店はユーザーから返金を求められることをあえて承知をして破格の安さで販売を行い、購入するユーザーをできるだけ多く集め、必ず送料を徴収することも忘れず、この商品も別途で送料が1137円がかかります。
そして、現在のアリエクスプレスにて月4回までは無条件で返金がなされ、5回目以降はどんな理由であろうと中国まで商品を返送しないと返金されないルールを悪用し、仮に返金回数が月4回になっているユーザーにネジが届いたとすると、そのネジを中国までユーザー自身が運賃を支払って返送しない限り、商品代金と送料は返却されません。
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このポータブル電源のお値段438円と送料1137円を合計すると、これはちょうど10ドルになり、10ドルを返金してもらうために中国まで運賃を掛けて返送する人間は誰もいないことを逆手に取って、こういった詐欺を行っていると推測されます。
破格に安い商品をとにかく数多く販売し、仮にユーザーを1万人集めたとすると売り上げは10万ドルにもなり、その内の5%ほどのユーザーの返金回数が4回以上だったとすれば、元手をほとんどかけずに5000ドル・日本円で80万円近くを手にすることができます。
アリエクスプレスには詐欺的なお店が少なからず存在しているのは間違いないのですが、パターンとしては破格に安いお値段でユーザーを集める手口が圧倒的に多く、安過ぎる商品は嫌な思いをするだけなので、遊び感覚であっても絶対に手を出さない方が良い、というお話でした。