弱肉強食という四文字熟語は、使われる漢字の意味そのままに弱いものが強いものに取り込まれてしまうことの表現ですが、自然界に存在する弱肉強食をうまく活用した商品がありまして、トンボのオニヤンマの作り物で虫よけをするというものです。
オニヤンマはかなり大型のトンボで、スズメバチをも捕食するほどの強さを持っておりまして、昆虫界の中の弱肉強食ではトップクラスにランキングされております。
この特性を利用したのが、見た目がオニヤンマのフィギュアでして、これを人間が付けておくとハチやアブが怖がって寄り付かなくなるとの謳い文句で、どこのドラッグストアでも売られていて、殺虫剤を使わずに嫌な虫を忌避できると大変売れているようです。
現在ではアリエクスプレスでも類似品が販売されておりますが、私は東京都の山沿い地域で暮らしているため、ハチやアブとベランダや玄関で遭遇することが多いので、このオニヤンマフィギュアをそれぞれの場所に吊るして使用してみると、その効果は確かにございました。
蚊への効果はよく分かりませんが、昆虫界の弱肉強食の効果は間違いなく存在するようで、ハエよりも大きな虫を見ることが格段に減ったのは確かです。
しかし、これを使うようになって困った問題も起こりまして、それはオニヤンマを捕食しようとする鳥がやたらと集まるようになってしまったことです。
オニヤンマの強さはあくまでも昆虫界だけでのものですから、昆虫を捕食する鳥界の中では食べられてしまう弱者にもなり得ます。
しかもオニヤンマのフィギュアは全く持って微動だにせず、我が家のベランダに呑気に張り付いているのですから、鳥たちには格好の獲物と認識され、1週間も経たないうちに見る影もなくなってしまい、となると、再びハチやアブが我が物顔で飛び回るようになって、自然界はうまい事できていることを実感しました。
とはいえ、ハチが間近でぶんぶん飛んでいるのは恐ろしいですから、効果のあったオニヤンマのフィギュアを再び付けようかと思いましたが、結局は数日で鳥にやられてしまうでしょう。
だったらと、オニヤンマによく似た安いものはないかと100円ショップのダイソーで探してみると、駐車場の仕切り線などに使われる標識ロープ(トラロープ)が100円で売られており、これを15cmくらいに切ってベランダや玄関にぶる下げてみるとあら不思議、フィギュアと同等の効果がありました。
ただし、この標識ロープでも鳥の奴らは捕食しようと集まってくるため、虫類は来なくなったものの、鳥は集まりやすくなってしまい、その場でふんをしたり、うるさく鳴き続けたりするので面倒なことが増えたような気もします。
昆虫界の弱肉強食を利用すると嫌な虫類に遭遇することは相当に少なくなるのですが、その上位クラスの生物が結局は取り込もうとするので、使い方によってはうまくいかないのかも、というお話でした。