足立区は治安が悪いわけではない、民度が低いだけなのだが、今はどんどん良くなっている最中な話

現在、私は東京都下の山方面で暮らしておりますが、元々は東京都にある足立区で生まれ育ち、実家もまだございますので、たまには地元に帰る事ももちろんございます。

最近ではかなり開発の進む足立区ではありますが、ネガティブに捉える方が未だに多く、足立区で生活をしていた人間からすると、多くの方々が想像する足立区というものは、当たっている話もあれば、大きく間違っている話も多く存在します。

足立区=「治安が悪い」という点は本当なのか、住みやすい環境なのか、それとも、噂通りの本当にスラムのような場所なのかという点についても書かせていただきたいと思います。

自分自身が東京都足立区出身であることを人に話すと、『危ないところなんでしょ?』もしくは『治安が悪いんでしょ?』と聞かれる事が非常に多いというか、必ず尋ねられるキーワードになります。

なにをもって治安が悪いのかという定義がよく分かりませんが、足立区に住む人間が治安について尋ねられたら、きっと「自分の住んでいるところは安全だけど、他の足立区内は結構ヤバい」と答える事が多いはずです。

足立区には東西を走る環状七号線(環七)という国道がありますが、その内側か外側かというものでも治安は大きく変わってきますので、環七の内側に住む人間は外側は治安が悪いと言いますし、外側に住む人間は足立区の外側の埼玉の方が治安が悪いと言うはずです。

それと、足立区には都営住宅の団地が至る所にあり、団地に住んでいない人間たちは団地の住民が治安を悪くしていると思っていますし、団地に住む人間は土着している戸建ての住民こそが昔から柄が悪く、治安を悪くさせていると思っています。

総じてどっちもどっちな話なのですが、実は、足立区の治安というのは住んでいる地域の僻みにも問題があり、大袈裟に表現する事での風評被害的なものがあるのかもしれません。

それでも近年はマンションが目立つようになりましたから、マンションに住むようになった、土着ではない他の地域から来た人間たちというのが、そういった地域の僻みというものを薄めているように思えます。

お次は治安に関してですが、私自身が思う足立区の治安は概ね安全だと思いますし、怖ろしい出来事に遭遇するなんて本当に少ないと思います。

私の実家の半径100mの圏内で私が住んでいた二十数年の間に起こった殺人事件は5件ほどあって、その内の2件は未解決事件だったと記憶しておりますが、治安が悪そうなエピソードはこれくらいで、至って平穏な住みやすい地域だと思っております。

確かに殺人事件、しかも未解決の事件が発生しているとなると治安が悪そうに思えますが、そこに住む住民たちは事件の発生する経緯はよそ様の家庭の事情だからしょうがないと心底感じています。

また、同一犯の連続殺人事件や猟奇的な事件ではないですし、たまたま我が家の周りで事件が重なって起きただけと思えば気になる事もありません。

それと、恐喝は起こったとしても、不思議と強盗というものはあまり聞いた事がありませんし、連続窃盗事件というものも、他の地域に比べて格段に多いという印象もありませんから、世間が思っているほど足立区内では凶悪事件は起こっていないはずです。

唯一、私が足立区って治安が悪いかも、と25年以上前に思ったのは、千住という場所にある職安の周辺地域です※現在はその職安も別の場所に移転したので、治安は大幅に改善され、安全な地域に変わっております。

朝だろうと昼だろうと、安酒を飲んで路上に寝そべる方々があちらこちらに存在し、近くを歩いていると絡まれる事も多かったですし、恐喝まがいな脅しを受けて、小競り合いになる場面もありました。

その職安の近辺にはかつて自動車教習所があったのですが、路上で寝ている方々の中には、教習車に対して「当たり屋」を行い、金品をせしめようとする人間がおりました。

私もその教習所に通っておりましたが、安全運転を教えるべき教官からは「あいつら、本当に轢いてやりたい」と、指導員らしからぬ言葉を何度も聞きましたので、かなりの頻度で発生する面倒な事案だったことは想像に容易いです。

卒業検定の際に「職安の周りは不意に人が飛び出してくるので、十分注意するように」という、検定員からの忠告は本当に起こり得るリアルな話でした。

足立区には治安や民度ではなく独特の文化が存在しているのは間違いなく、他の地域に比べて足立区はおかしいなという点は結構ありまして、町の至る所に防犯を啓蒙する看板が立っていますが、そこに書いてある文言があまり他では見ないものです。

例えば、『怪しいぞ あの人ここらで 見ない顔』という立て看板は、近所のあちらこちらにあって、今でも頻繁に見る事ができます。

町というものは頻繁に人の出入りがあって当たり前ですが、足立区の場合、独裁国家のようにお互いを監視することで平穏になっている部分もありますから、知らない顔=不審者という極端な考えで地域の平和が成り立っているものと思われます。

さらには「放火は止めましょう」という直球ど真ん中の看板も普通によく見ましたが、そういえば足立区でしか見た事がありません。

「火の用心」とか「地震だ、火を消せ」のような文言はよく目にしますが、火事を抑制するための文言が「放火は止めましょう」というのは効果があるのかは甚だ疑問ではありますが、おそらくは付け火を行おうとする輩の心へ響かせるためにこういった文言を使用していると考えられます。

また、放火の話で思い出しましたが、火事というものが起こると、私が住んでいた地域では一大イベントになり、町内全員が集まったのでは?というほどの、それは多くのやじ馬が集まります。

真冬だと最前列に陣取る子供たちが、家屋が全焼しつつある燃えさかる炎を見ながら「暖かいね」と微笑みながら手をさすり、鎮火が迫ると、いい年をした大人の中からは「もう消えやがった。もう一度、団扇であおいで火をともせ。せっかく全部燃えちゃうところだったのに!」という、人間とは思えない言葉が至る所で聞こえます。

このような事案から見ても、治安が悪いのではなく、民度が低いというのが足立区の問題点とも言えそうです。

ドラマ・金八先生のオープニングで荒川土手を歩くシーンというのは有名ですが、『学校へ通うのにあんなところは歩かない』と人に話すと大抵驚かれます。

わざわざ土手にあがり、土手を通って、再び、土手を降りて学校に行くなんていうのはかなりの遠回りですし、ドラマの中では土手の車道を多くの生徒が歩いたりしておりますが、本来はかなりの交通量がある車道ですので、あのような集団登校をしたらすぐに死亡事故発生です。

そもそも荒川土手にわざわざ行くというのは、普通に足立区で生活している人間にはあまりない事であり、早朝に犬の散歩に行くかジョギングをするくらいでしか行きませんし、そもそも、かつての荒川土手という場所はなかなか物騒な場所でもありました。

もし女の子が薄暗くなった夕方の荒川土手に一人で佇んでいると、ドラマのワンシーンのようで絵になりそうですが、かつての荒川土手でそんなことをしているのはなかなか危険な行為であり、性犯罪に巻き込まれてもおかしくない状態でもありました。

あくまでも私が子供だった頃の話なのですが、荒川土手に一人では絶対に行ってはいけないと学校の規則として明記されていましたし、とにかく何かあったら逃げ場がないので、むやみやたらに近づくなというスタンスでした。

こちらは危害を加えたりしていないのに、橋の下に住む浮浪者からなぜか襲われる事もありましたし、怪しい大人が数人集まって、子供の直感からしても「いけないモノ」を取引している現場を見てしまった事もありました。

昭和の時代の荒川土手を思い出してみると、ここだけは若干、治安が悪かったと感じますが、現在は土手も整備されていて、区民の憩いの場に生まれ変わっているらしいので、治安が悪いという事はないでしょう、おそらくは。

ありのままの私の生まれ育った足立区について脚色することなく書いてきましたが、何度も言いますが、世間が言うほど足立区の治安は悪いのではなく、民度の低さが影響しているのだとが思われます。

自転車の盗難件数が23区内でワーストという話もありますが、足立区においては「チャリを盗まれた奴が悪い、隙を見せた方が負け」という認識がありますので、盗ませないようにすればいいだけですし、個人的には、カギを掛け、チェーンロックを付けていれば、足立区にいた時に自転車を盗まれる事は一度もありませんでした。

それよりも、現在は分かりませんが原付を盗まれる事が頻繁に起こったので、こちらの方が対策が必要だと思います。

原付に関しては、盗難されないようにわざとスプレーで奇抜な色に塗り替え、シートにチンチラを張り付けたりして、見た目から盗られないようにすることは私の地域では結構行われていた事でした。

スプレーで塗り替えておくと、誰の原付だというのが遠目から分かり、所有者と違う人間がもし乗っていたらすぐ分かりますので、盗難される確率はかなり低くなるだけでなく、原付の色を塗り替える事で資産的価値が大幅に下落して(焦土作戦)窃盗犯が欲しがらなくなり、安全に駐輪できて盗難される事はなくなりました。

ただし、私が東京都下に引っ越してきた時、その奇抜な色の原付も一緒に持ってきましたが、「足立区」と書かれた折れ曲がったナンバープレートに奇抜な色の原付は、足立区では見慣れた光景でも、他の地域では異端以外のなにものでもなく、かなり恥ずかしい思いをしました。

小学校の給食費免除を使わないと損だといって、クラスの半数が利用してしまう足立区。

3.11以後の計画停電の際には、23区内なのに電気が止められてしまった足立区。

ほんの20年ほど前に今では珍しい共産党系の区長が誕生して、すぐに破綻した足立区。

大昔、近所の交番を過激派が時限爆弾で爆破したら、その交番は廃止になってしまい、簡単にテロに屈してしまった足立区。

本当は、治安が悪いなんて言われるのは心外で、もっと闇が深いのは隣の荒川区だと思っている足立区の住民。

言い始めたらきりがないのですが、最後くらいは足立区の良いところも書いておこうと思います。

足立区に住む利点としては、背伸びをしないで生きていけるところではないでしょうか。

きっと背伸びをしないで生きていけるから、物価が安いと言われる所以だと思いますし、高級住宅街にありがちな見栄を張らなければいけない場面なんて皆無です。

むしろ足立区で見栄を張っていたら、周りからの嫉妬でこれまた面倒な事になりそうですし。

誰もが自然体で生きていける足立区ですが、今後、新しい住民が加わってくる事で、昔ながらの足立区は色々なものがかなり薄まっていくと思います。

新しい住民が治安を良くしていき、旧住民が良い方向に変わっていくという進化が現在進行形で行われている最中ということで、もしかすると今後100年くらい経てば高級住宅街になる可能性もあるかも、いや、ないな。