『暗黙の了解』という言葉は誰もがその意味を知り、日常的に使用しておりますが、改めてその意味をごくごく簡単に説明するのなら、「あえて口には出さないが、誰もが知っている事柄や内容のこと」というのが割と自然な気がします。
例えば、満員電車でむやみやたらと騒いだり、大声を出したりするのは、刑法上のお咎めはないものの、やってはならない行為であることを日本人ならば誰もが知っているのは正に暗黙の了解であり、結婚式の余興で別れや浮気、不倫が題材となった歌が絶対にダメなのも、お葬式で明るいBGMやファンファーレが鳴り響いてはいけないのも暗黙の了解です。
暗黙の了解は日本だけに留まらず、アリエクスプレスの商品にも存在しており、しかも外国人であっても暗黙の了解をちゃんと理解した上で購入していて、だからこそ、かなりタチが悪かったりするものがございます。
まずは、上の画像の商品をご覧いただきますと、日本が発祥のゲームキャラクターのトレーディングカードであることがお判りいただけると思います。
そして、トレーディングカードの相場というか、実勢価格がいまいちピンとこない私のような人間であっても、このお値段が明らかに安過ぎることがなんとなく分かります。
アリエクスプレスで安過ぎる商品、しかもアニメのキャラクターものとなれば、この商品はニセモノであることに間違いありません。
しかし、この商品のフィードバックを見てみると、偽物の割には思ったよりも酷評されておらず、むしろポジティブな意見が多かったりするのですが、そのコメントは正に暗黙の了解に基づいているものばかりだったりします。
上の画像のように、ニセモノであることをユーザー自身がちゃんと理解しつつ、価格を考えるならば5つ星の評価だという、盗人猛々しいご意見であったり、
幼い子供が使うものだから偽物で十分だ、というコスパ重視といって良いのか、はたまた、子供にはビタ一文もお金を掛けたくない守銭奴タイプのユーザーなのか、きっちりと5つ星の評価を与えていたり、
偽物であるがそんなことは関係がないと、名を捨てて実を取るタイプのユーザーでありながらも、評価としては、ニセモノであることがやっぱり気に食わないのか、4つ星の評価をする声もありました。
当然、ニセモノであるから1つ星という評価があるものの、1つ星を付ける以前に、購入の時点でお値段をしっかり考慮することがあって然るべきだと言いたいところですが、そんな声は少数派だったりします。
ちなみに、この商品を購入した痕跡に日本人は誰一人いらっしゃらないようで、ニセモノであることを理解しつつ、購入する行動に移らないのが日本人の国民性なのか、この商品は日本人以外にバカ売れしていました。
フィードバックの評価だけを見ると、このトレーディングカードはまんざらでもないような気にもなりますが、間違いなくニセモノであり、パチモノである時点で質の良い商品なわけがなく、権利的な問題しかない商品です 。
そもそも、本来ならば販売停止になるべき商品だと思うのですが、なぜか、この手の商品はもうだいぶ以前からアリエクスプレスでは売られ続けております。
結局のところ、この商品は、アリエクスプレス・お店・購入する外国人ユーザーの三者が共に暗黙の了解の中で売買しており、その暗黙の了解は全く持ってロクでもなかったりする、というお話でした。