
金(ゴールド)の価格が史上最高値を次々に更新しており、現在の1グラム当たりの金の小売価格はなんと2万円を超えているそうですが、金は太古の昔よりその希少性から珍重されていて、人々は金をどうにかして作ることができないかと、紀元前から様々な研究に明け暮れておりました。
しかし、錬金術は現在においても確立できておらず、出来損ないですら作ることができておりませんが、時々、科学の力で金を作れるようになったとのB級ニュースが流れることがあったりします。
このような事象のことを世の中では似非科学と言ったりします。

似非科学というのは多岐にわたり、水をガソリンにするといった錬金術と同様のあり得ないものから、鍼治療や指圧のように、なにがどのように効果が得られるのかを科学的に証明できないものの、効果が出る人間が一定数存在し、むしろ有効であると人々に広く知れ渡っているような事象も含まれます。
ですので、似非科学が全て紛い物だと断じるのはナンセンスなのですが、アリエクスプレスで販売されている、携帯電話用電波増幅ステッカーはダメな似非科学の最たるもののような気がします。

今から25年ほど前の携帯電話は、アンテナ基地局がまだそう多くなかったことから、電波の弱い地域が非常に多く、通話が途切れたり通信が切断されてしまうことがよっちゅうございました。
そんな頃に販売されていたのが、携帯電話のアンテナ付近に張り付けると弱い電波を増幅させるというステッカーでして、人体に影響を及ぼす電磁波を吸収するステッカーと共に、かなり売れていた商品でした。
ただ、そんなステッカーを貼ったくらいで電波が増強するのなら、携帯電話会社はアンテナをいくつも建てるより、ユーザーにこのステッカーを配るはずなのですが、そういったことにはならず、その後、兆単位のお金をかけて電波環境を良くしていったのですから、効果は当然なかったということなります。

時が流れた現代においても、ガラケー創成期時代から存在するあのステッカーがアリエクスプレスには販売されており、まだまだ電波状況が良くなさそうな国の人々を中心に挙って購入されている図式がございます。

そして、時は流れても本当に電波を改善するシールの類は開発されておらず、効果が当然ないのですが、一定のユーザーは効果があったとのフィードバックがあって、それを見た他のユーザーがまた購入する、とのサイクルを繰り返しております。
こうなると、鰯の頭も信心からよろしく、電波が改善されたのなら当人にとっては良かったことですので何も言うことなんぞありませんが、できれば、これから購入しようと思われる方は買わないほうが正解、というお話でした。