
備蓄米は、政府が主に災害用としてストックしている玄米をスーパーやドラッグストアが随意契約で入手し、それを精米したものが自社の店先に並んだお米です。
ただ、政権が代わってコメ政策の方針も変わり、政府からのコメの放出が途絶えてしまったため、備蓄米をスーパーなどで見かけることが一切なくなりました。
しかし先日、行きつけのスーパーにて税込1700円ちょっとで備蓄米が売られていたので久しぶりに購入し、早速食してみると、なにも問題なく美味しくいただけましたので、改めて備蓄米は安くて美味しいことを認識できました。

現在はそもそものお米自体が政府から放出されなくなったのですから、備蓄米は必然的に流通しなくなるわけで、スーパーで安価にお米が買えるのもこれが最後だと思っておりました。
しかし、ふらっと立ち寄ったコスモスというドラッグストアにて、令和4年度産の備蓄米が5kgで税込1980円にて販売されておりました。

精米日を見てみると、12月上旬と表記されているので、おそらくは精米してから長くても数日しか経過していないと思われ、精米したてで入荷したての備蓄米が目の前にあります。
先日スーパーで購入した備蓄米が米びつにたっぷりありますが、寒い冬を迎えてお米の鮮度もそう悪くならない時期でもありますし、もう備蓄米と今後出会う機会もなくなりそうなので、ありがたくストック分として1袋を購入してまいりました。

ドラッグストアから帰宅してさっそく炊いて味見をしようかと思っていると、私の知り合いから電話がかかってきまして、そういえばさっきから着信が複数回あったのですが面倒なので取らずにいたところ、知り合いは『人が用があって電話しているのになんで出ないの?』と一言めから怒鳴り口調です。
こちらとしては、どうせまたくだらない話だと思って電話を取らないだけなのですが、その事実を言ってしまうと面倒な話にもなるため、買い物中と運転中でただただ電話に出られなかったと伝えると、知り合いは『なにを買ってきたの』と尋ねてきました。

以前にも、私が買ってきたばかりの備蓄米を知り合いに強奪されたことがあるので、これだけは言うまいと心に誓ったものの、電話に出なかったことを肯定するために色々と話をしているうちに、ついうっかり備蓄米を買ったと言ってしまいました。
すると、知り合いは『まだ備蓄米って売っているの?私にも買ってきてよ』と言い、『あっ、わざわざ買ってこなくてもいいよ。その備蓄米をくれてもいいんだからね』と訳の分からないことを続けて言いました。
我が家の米びつは潤沢ではありますが、5kg1980円で買えるお米はこの先に出会えるのか分からないので渡すわけにはいかず、知り合いには購入したお店を教え、今から行けばまだ間に合うと伝えて電話を切りました。

それから20分後、知り合いからまた電話がかかってきて『ドラッグストアに着いたけど、もう売り切れだったよ。だからそのお米をちょうだい。いまから取りに行くから』と一方的に言うと電話は切れました。
知り合い宅からそのドラッグストアまでは30分以上は確実にかかるため、知り合いはドラッグストアに行かずに頃合いを見計らって電話をかけてきたに違いありませんが、そのことを指摘したとて、昭和の時代のサラ金が債権者からなんとしても取り立てるが如く、たかが5kgのお米のために我が家の周りで騒がれるのも厄介ですので、しぶしぶ譲渡することにしました。
その後、私は急いでドラッグストアへ再び向かってみるも、備蓄米は既に売り切れており、帰宅してなにかやるせない気持ちになりつつ、今これを書いている、というお話でした。
