アリエクスプレスには個性的なバイク用ヘルメットがとても安価に販売されている話

私は現在、東京都の山沿いの地域で暮らしておりますが、生まれてから20代の前半までは東京都の足立区という、世間ではあまり評判の良くない地域で暮らしておりました。

東京都の23区内という括りだと、大都会を想像される方がいらっしゃるかもしれませんが、足立区だけに関しては、便宜上のためだけで23区に取り込まれている印象が非常に強く、なぜなら他の22区とは大きく異なる点がかなりあって、特に鉄道網に関しては足立区だけは別物だったりします。

『東京都内は電車や地下鉄が身近にあるから移動が楽で、車やバイクなんて必要ない』との声を耳にすることがありますが、足立区は東京23区内の中で3番目の大きさを誇る区でありながら、鉄道網が整備されているのはごくごく一部の地域に限られるため、公共交通機関といえば路線バスがメインで、移動する手段は道路に頼らなければならない地域だったりします。

現在は分かりませんが、少なくとも私が暮らしていた頃にどこかへ出かける際には、バス、あるいは自転車、バイク、車がメインでして、16歳を過ぎれば原付や自動二輪の免許を誰もが取るのが当たり前の地域でした。

同じ地域に住む同世代の人間の多くが原付なり自動二輪に乗るとなると、他人と自分になにかの差を求めるようになり、バイクの車体の色をスプレーで塗り替えたりする人間が大勢おりましたが、ぱっと見で違いが分かりやすい『ヘルメット』で差別化を図る人間がとても多かったように思えます。

2025年現在の道路交通法でどうなっているのかは不明なのですが、今から30年以上前にはインターネットなどないために道路交通法を図書館で調べてみたところ、ヘルメットに関してのルールは着用が義務付けられているものの、被るヘルメットに関しての規定はなく、たとえ建設作業等で使用される安全ヘルメットでも被っていればOKという解釈になっておりました。※ただし、これはあくまでも法令的な話であって、バイクに乗車する際の安全面を考えれば、全く褒められたものではありません。

『JISマークやなんたらマークが付いていないと違反になる』なんてことを聞いたことがあったのですが、自分で調べた限りでは法律上の規定は一切なく、それが正しいのかを証明するため、私は区役所で行われていた無料法律相談へ赴き、弁護士の先生に着用するヘルメットの規定について尋ねてみたところ、帰ってきた答えは図書館で調べた通りのルールでしたので、バイクに乗車するときのヘルメットは、被っていればなんでも良いことへのお墨付きを得ました。

そんなことを踏まえまして、アリエクスプレスには個性的なヘルメットが数多く並んでおり、ノーヘル派が多数存在していたあの頃の足立区であっても、アリエクスプレスのラインナップならば、バイク用のヘルメットを購入する人間が結構いたような気がしました。

例えば、カウボーイハットのヘルメットが3000円ほどで購入できるのならば、購入する人間は結構いると思われ、

やかん型ヘルメットが5000円ならば、ちょっと目立ちたい人間なら買ってしまうと思われ、

競馬にどっぷりハマっていた私が愛用していた乗馬用ヘルメットに至っては3千円以下で購入することができ、当時、5万円ほどの乗馬用ヘルメットを買って原付に乗っていた私ならば、5個10個と買ってしまいそうです。

ただし、アリエクスプレスの安価なヘルメットはラーメンの丼を被っているのと同じだと考えた方が良い気がしますし、命を守るヘルメットだからこそ、ちゃんとした日本の規格に見合ったヘルメットが必要だと、今ならきちんと理解することができるのですが、当時の足立区ならばバカ売れだったであろう、アリエクスプレスの非常に安価なヘルメットのお話でした。