就寝時のエアコンの設定温度は上げるのではなく下げた方が良い話

夜になっても気温が下がらない熱帯夜が続いておりますが、夜明けの頃に電話が鳴りまして、眠気まなこで出てみると私の知り合いからで『寝ていて熱中症になったかもしれないから、またポカリを買ってきてよ』とスマホから聞こえてきました。

つい先日も、朝方にポカリを買ってこいとの連絡があって渋々持って行った出来事の愚痴を書かせていただきましたが、それほど時がまだ経過していないのに、就寝中に再びに熱中症になるのは当人の心構えに大きな問題がある以外に理由はありません。

私も眠い目をこすりながらポカリを買って届けるなんてもう二度とやりたくありませんから、「台所に行って塩を舐めつつ、水をゆっくり飲んでいれば回復するから」とだけ言って電話を切りましたが、その後はタチの悪い金融屋さん並みに電話が何度も鳴り続けます。

このしつこさだと我が家に乗り込んでくるのでは?と思いつつも、それだけの元気があるならば熱中症になっておらず、至って健康体なようにも思えますが、後々になってポカリ如きで恨まれ続けるのも嫌なので、前回同様、アイスノンとポカリを渋々持って行くことにしました。

知り合い宅に着いて真っ先に感じたのは、もわっとした空気感にやたらと包まれていることでして、エアコンを点けていないのかを尋ねると、ちゃんと点けているとのこと。

いやいや、エアコンが稼働しているならばもっとカラッとした空気感であるはずですが、やたらと高湿度の重ったるい空気に包まれており、こんなところで寝ていたら熱中症になることだってあるかもしれません。

では、なぜエアコンを点けているのに涼しさを感じない空間になっているのかというと、エアコンの設定温度が大いに関係しておりました。

『就寝時にエアコンで冷やし過ぎると体に良くないから寝る前には設定温度を高くしましょう』、なんてことを聞くことがありますが、私の知り合いも就寝時の設定温度は29℃にしていたとのこと。

しかし、朝方にかけて熱帯夜といっても外気温は25℃くらいまでは下がるわけで、となると、屋内の温度はそう高くならないため、エアコンは冷気を出さずに吸い込んだ空気をそのまま吐き出す送風運転を行うようになります。

なぜ送風運転を行うかといえば、稼働中のエアコン内は水分が大量に付着している上にフィルターでその水を狭い空間に閉じ込めているので高湿度でカビが大発生する土壌になっており、このカビを防止するために風を送って送風運転を行う性質があります。

高湿度になったエアコンから出てくる風は水気をたっぷり含んでいるので、部屋の温度は27℃でも湿度は80%くらいにすぐに達してしまい、低価格モデルのエアコンのセンサーはあくまでも温度だけを監視しているので、設定温度が29℃だとまだ2℃も低い温度だから大丈夫だねとばかりにさらに送風運転を行い、気付けばエアコンを稼働させているからこそ高湿度で熱中症になりやすい環境を作ってしまうことになります。

私の知り合いがエアコンを点けているのに熱中症になったのは間違いなく設定温度に問題があったからであり、『寝る時は設定温度を高めに』あるいは『就寝時のエアコンはタイマーで消す』といった迷信的な格言がそうさせたように思えます。

ではどうしたらいいのかというと、寝る時こそ設定温度を下げるべきであり、その代わりに布団を厚手のものにしたり、場合によっては毛布などを重ねたりすることで、少なくとも私が朝方に呼び出されることは確実になくなります。

とにかく、エアコンが常時冷風を出している環境ならば熱中症にならないことは分かったが、となると電気代が気になると知り合いは言いますが、屋外が25℃くらいの環境でエアコンの設定温度が25℃の場合には、温度差が少ないために電気代は10円単位だと思うと言い含めました。

前回も、エアコンを点けて寝ると風邪を引く、場合によっては死んでしまうという知り合いの間違った固定概念から騒動が起き、今回は就寝時の設定温度は高めにすることで再び呼び出されましたが、むしろ設定温度を低くする代わりに寝具は厚手のものにすることで少なくとも熱中症になったり、エアコンの冷気で調子が悪くなることだけはなくなる、というお話でした。