暑い季節になるとアリエクスプレスでは手軽に涼しくなれるとの売り文句の商品がかなり増えてきます。
その中でも特に多いのが、扇風機に水を入れて涼を得ようとする冷風扇のような商品でして、2024年は昨年まで見なかったタイプの冷風扇でかなりお安いお値段で販売されているのをよく見掛けます。
しかも、その新製品の評判は上々で、フィードバックを見てみるとネガティブなことが一切書かれていなかったりします。
現在の注文数が1万件以上で、フィードバックにコメントしたユーザーはまだ100人ちょっとであるものの、星2つ、1つの評価が全くない商品というのはなかなかありません。
コメントを見てみると、『本当に涼しい』『寒いくらいだ』といった肯定的な意見がたくさん並んでますから、それを見た日本人ユーザーもだったら買ってみようという気になるかもしれません。
しかし、冷風扇は日本に住んでいる日本人だからこそ、おすすめできない要素が多分にあります。
冷風扇は気化熱で温度を下げようというものですが、確かに気化熱で涼しく感じられることに間違いはなく、お風呂から出た直後の濡れたままの状態で扇風機の風に当たると、涼しさを通り越して寒さを感じることがありますが、これは体についている水分が蒸発して体の熱を下げているからです。
その仕組みを応用したのが冷風扇で、扇風機の風で水分を蒸発させることで涼を得るものなのですが、蒸発した水は周辺の湿度を上昇させることにも繋がります。
日本の夏は高温多湿であり、熱中症の要因は湿度が大いに関係していることは広く知られておりますが、冷風扇は気化熱で多少の温度は下げられるものの、湿度を確実に上昇させることになります。
これが湿度が極端に少ないアメリカの西海岸だったらちゃんと涼を得ることが可能なのでしょうが、ただでさえ高湿度の日本ではさらに湿度を上げることになり、それでいて下げられる温度はたかが知れているため、冷風扇を使ったがためにもっと暑苦しくなります。
もしもこの冷風扇のシステムで本当に日本の夏が涼しくできるのならば、バケツの水に扇風機を当てることでも同じなので、暑い日にはバケツに水を汲んで扇風機で風を送ろうキャンペーンが大々的に実施されるはずですが、そういった動きはこれまでのところ見当たりません。
また、室温35℃の環境ならば、この冷風扇を使うことで多少の涼を得ることは可能だと思いますが、人間が快適に過ごせる温度には少なくとも湿度の高い日本では絶対になりません。
このアリエクスプレスの新型の冷風扇に水を入れずに扇風機として使用する分には何も問題はありませんが、もしも水や氷を入れて涼を求めようとするのは難しい、というお話でした。