アリエクスプレスには購入する側が全てを察しなければならない商品がある話

『以心伝心』という四文字熟語は、日常会話であまり使う場面がないものの、誰もがその意味を割と知っている言葉のような気がします。

ちなみに、辞書で調べてみると本来は仏教の用語だそうで『言葉によらずに、互いの心から心に伝えること。言語では説明できない微妙な事柄を相手の心に伝えてわからせること』とあり、一言で言うのならお互いが何も言わずに分かりあうことを指します。

そんなことを踏まえまして、アリエクスプレスはただの海外通販ですから、店と客が心と心が通じ合うことなんてあるわけがないと思いがちですが、実は以心伝心を求められる商品が存在しております。

そんな商品の一つに、上の画像のぬいぐるみがあります。

このぬいぐるみの固有名詞を答えよと問われれば、老若男女の誰もがあの名前を即答できると思われ、これは日本だけでなく、世界各国でも同様で、勿論、アリエクスプレスのお店を営んでいる中国の方々だって全く変わりがないと思われます。

しかし、アリエクスプレスの商品ページに記載されるこのぬいぐるみの名前というか商品名は、

『漫画の豪華な枕,女の子のためのぬいぐるみ,柔らかい人形,ティッシュの収納ボックス』

『カワイイエコノピコットンドール、かわいいおもちゃ、車のティッシュボックス機能』

『小さな女の子のための大きなぬいぐるみ,家の装飾,クリスマスの贈り物』

など、このぬいぐるみのキャラクター名をダイレクトに伝える表現は一切ありません。

日本には男性器を模したものをご神体とする神社が存在し、そのご神体をお祭りの時に皆でお神輿のように担いで練り歩くといった風習がある地域がありますが、こういったお祭りを報道する際、ご神体の画像は掲載するものの、ご神体そのもののダイレクトな名称は絶対に使わずに「性神信仰」といった表現が使われることがあります。

考え方によってはこの表現の方がなにか猥褻的なような気もしないでもないのですが、そこは以心伝心でどうか察してやって下さいとの思惑が見え隠れします。

このアリエクスプレスで販売されている犬のぬいぐるみは、ご神体と理由は若干異なるものの、同様の以心伝心が求められているのだと思われ、だからこそ、なにか不自然過ぎて買う気が失せるような気がしてならない、購入者が色々と察しなければならない商品のお話でした。